【11月14日 AFP】英ロンドンに拠点を置く国際的なマジック団体「マジック・サークル」は、かつて男性限定だった同団体に性別を偽って入会していたとして、30年以上前に追放した女性の捜索を続けている。

マジック・サークルが居場所を突き止めて謝罪したいとしているのは、男性に成り済ましていたとして1991年に除名処分を受けたソフィー・ロイド氏。

「レイモンド・ロイド」として1年半、活動していたが、1991年に投票で女性の入会が承認された際、自身が女性であることを明かしたところ、「意図的な詐欺」だとして他の会員から怒りを買い、除名された。

団体は、ロイド氏の所在を突き止めるために手を尽くしているが、努力は実を結んでいない。

マジック・サークル初の女性会長、ローラ・ロンドン氏はAFPに「彼女がなぜ姿を消してしまったのかは、大きな謎のままだ」と話し、「彼女が受けた不当な扱いを知れば知るほど、この過ちを正したいと思う」と主張。

「少なくとも、当時の処遇について、クラブとして謝罪したい」と語った。

男性への成り済ましは実は2人がかりで行われたもので、本業が女優のロイド氏を雇っていたのは、女性マジシャンのジェニー・ウィンスタンリー氏だった。マジシャンとして、女性も男性と同じくらい優れていることを証明することが目的だった。

ウィンスタンリー氏は2004年に交通事故で亡くなったが、ロンドン氏は、ロイド氏は「存命の可能性が非常に高い」と指摘。

「彼女に『ありがとう』と言いたい。1年半も、まんまと男性に成り済まし、女性が男性と同じくらい優れていることを証明した」と話した。

マジック・サークルへの女性の入会が認められるようになって30年以上がたつが、会員1700人のうち女性は今なお5%程度にとどまっている。

一方で、10〜18歳では少女や女性の割合が増え、クラブの全体的な雰囲気が昔とは一変したとロンドン氏は言う。

「時代は変わった。私たちのクラブも今では、多様性を認める非常に包括的な組織になった。マジックは、もう男性だけの古くさいゲームではない。見た目も中身もさまざまな人が大勢いる」と話した。(c)AFP