【11月14日 AFP】イラン当局は13日、死刑執行を一度は中止した受刑者に対し、改めて刑を執行した。人権団体によると、数か月前に行われた1回目では絞首刑の執行開始から30秒後に中止され、同受刑者は蘇生措置を受けていた。

ノルウェーに拠点を置き、イランの死刑執行を追跡調査しているNGO「イラン・ヒューマン・ライツ(IHR)」によると、アフマド・アリザデ死刑囚(26)が殺人容疑で逮捕されたのは2018年10月。無実を訴えていたが、死刑を宣告された。

今年4月27日、首都テヘラン郊外の刑務所で絞首刑を執行されたが、IHRによれば、開始から28秒後に、被害者の遺族が突然「許す」と叫んだため、アリザデ受刑者は絞首台から降ろされた。「ぐったりしていた」が蘇生措置を受け、執行は中止された。

イランのシャリア(イスラム法)では、被害者の遺族は死刑囚に「血の対価」として賠償金を請求し、免罪することができる。しかし人権団体によれば、多くの場合、死刑囚の家族は請求された金額を支払う余裕がなく、死刑が執行される。

アリザデ死刑囚は、被害者の遺族と血の対価についての折り合いがつかず、いつ死刑が執行されるか分からない状況に置かれ続けた。

IHRによると、13日朝、刑務所内で2回目の死刑を執行された。

IHRのマフムード・アミリモガッダム代表は、「才能ある学生だった」とする同死刑囚について、「殺人罪で2回目の絞首刑に処された。彼は起訴事実を否認し、拷問を受けて自白を強要されたと訴えていた」と述べ、イラン政府は「処刑機械」だと非難した。(c)AFP