WHO、ワクチン開発を優先すべき17種の病原体をリスト化
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【11月6日 AFP】世界保健機関(WHO)は5日、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)、マラリア、結核など、さまざまな疾病と死亡の原因となる17の病原体をリスト化し、新たなワクチンの研究開発が「急務」だと訴えた。
HIV/エイズとマラリア、結核の死者は合計で年間250万人近くに上っており、WHOは、これら三大感染症などのワクチン研究・開発は長年の優先事項であることが研究によって再確認されたと指摘。
一方で、あまり知られていない病原体についても、疾病管理が求められる優先事項として挙げている。
例えば、A群レンサ球菌は重篤な感染症を引き起こし、主に低所得国では、この細菌によるリウマチ性心疾患の死者は年間約28万人に上っている。
また、クレブシエラ肺炎桿(かん)菌の危険性も指摘。この細菌は、低所得国で血液感染症や敗血症による新生児の死亡事例の約40%の原因となっている。
WHOによると、リストに挙げられた病原体のワクチンの開発状況はそれぞれ異なり、HIVやA群レンサ球菌、C型肝炎ウイルスのワクチンなどはまだ研究段階にある。一方、デング熱や結核などのワクチンに関しては、規制当局の承認や導入が近い。
WHOのワクチン専門家、マテウシュ・ハッソーアゴプソウイッチ氏はポーランドからのビデオリンクを通じてジュネーブで会見し、リストに挙げられた17の病原体は低所得国で最も大きな被害をもたらしており、そのためにワクチン開発の進展も遅いと説明。
新たなリストにより、「新しいワクチンの研究・開発が商機によってだけではなく、健康被害によって推進されるように焦点を変えていきたい」と述べた。(c)AFP