最も翻訳されている中国の古典はなぜ『道徳経』なのか
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【11月5日 CNS】英国・ロンドンのオーバル駅では、心温まる伝統が受け継がれている。駅のスタッフが毎日、駅の入り口に心に響く言葉を一つ書いているのだ。その中には、春秋時代の道家の代表的人物である老子の『道徳経』の名言「千里の道も一歩から」があり、多くの通行人を励ましている。
中国古代の哲学書である『道徳経』は、その哲学的な思想で世界中の読者を魅了している。統計によると、『道徳経』は94の言語に翻訳され、2000以上の翻訳本が存在し、最も多くの言語に翻訳された中国の文化的古典となっている。では、なぜ外国人は『道徳経』を好むのだろうか?
道家の古典を英語に訳した一人である英国の漢学者、マーティン・パーマー(Martin Palmer)氏は、「西洋人は一冊の本に、考え方を教えてくれるだけでなく、行動の仕方も教えてくれるものを求めている。そうした点で、東洋の知恵に満ちた『道徳経』はぴったりだ」と語る。
「例えば『道徳経』の第一章は、一般的な論理思考を覆し、読者に想像力を働かせるよう求めている。面白いことに、この書物は短い章で構成されており、あまり長く読みたくないが素早く理解したいという多くの西洋人読者のニーズに合っている」と述べている。
同じく道家の古典である『荘子』は、美しい文体と寓話に富み、独特な視点を持つ作品で、西洋に新たな世界観を提供している。
1980年代、パーマー氏は西洋市場の『荘子』英訳本を読み漁ったが、どれも満足のいくものではなく、原文のユーモアや知恵が十分に表現されていないと感じたため、自ら翻訳することを決意した。そして1996年、パーマー氏が主に翻訳した『荘子』が英国の有名出版社ペンギン・ブックス(Penguin Books)から出版され、何度も再版されて多くの読者に愛読されている。
この英語版『荘子』は2010年にペンギン・ブックスから「最も重要な100冊の叢書」の一つに選ばれた。「これは私と英訳版『荘子』への大きな評価だ」とパーマー氏は喜びを語る。
翻訳作業を通じて、パーマー氏が最も満足し誇りに思うのは、多くの英語圏の読者に中国の古典を読んでもらい、中国古代の賢者の深遠な知恵や思想を感じてもらい、それによって励ましを受けてもらえたことだ。
パーマー氏は、中国の知恵、特に道家の知恵には多くの真理と洞察が含まれていると述べる。彼は、中国の哲学や道家の実践が西洋世界に異なる視点を提供し、さまざまな思想の交流と融合を促し、世界文化の発展に寄与していると感じている。
将来を見据え、パーマー氏は道家が提唱する「天人合一」の世界観が中国の価値観と知恵を体現していると述べ、道家文化を中国の物語の一部として、また世界に広める文化体系の一環として取り入れることで、西洋の人びとが中国をよりよく理解できるようになると期待を寄せている。(c)CNS/JCM/AFPBB News