【10月31日 Xinhua News】中国科学院南京地質古生物研究所は、同研究所の学者が主導する国際古生物研究チームが中生代の古代セミの研究を通じ、約1億5千万年前に起きた種の新旧交代を通じてセミの飛行能力が顕著に向上したことを発見したと明らかにした。

 古代のセミ「Palaeontinidae」は約2億6千万年~1億年前の代表的な樹上性昆虫で、非常に繁栄し、大量の化石が残っている。現在のセミと近縁関係にあり、昆虫の飛行能力の進化を研究する上で理想的な対象とされる。

 研究チームはPalaeontinidaeの形態的特徴をまとめたデータバンクを構築し、大進化の歴史を体系的に再現。約1億5千万年前の後期ジュラ紀に顕著な種の進化が起きたことを発見した。初期型が楕円形に近い前翅(ぜんし)や比較的大きな後翅、やや小さい中胸を持つのに対し、後期型は三角形に近い前翅や比較的小さな後翅、やや大きな中胸へと進化し、飛行能力の顕著な向上をもたらしたという。

 論文の筆頭著者、同研究所の許春鵬(きょ・しゅんほう)博士は「後期型は前期型に比べて翼面荷重が92%、飛行速度が39%、飛行筋の割合が19%増えており、飛行の敏しょう性と効率が顕著に向上したことを示している」と述べた。

 研究を主導した同研究所の王博(おう・はく)研究員は、約1億5500万年前のジュラ紀最末期から約1億3500万年前の白亜紀最初期に初期鳥類が急速に繁栄して森林の強力な「捕食者」となったことで、体の大きさから格好の食料源になったPalaeontinidaeの種の進化が促され、高い飛行能力を持つ後期型が急速に台頭したと説明。「今回の研究は古代の昆虫の飛行能力を定量計算する上で新たな考え方と方法をもたらした。飛行生物の進化の歴史を知る重要な手がかりにもなる」と語った。

 研究成果は26日、国際学術誌サイエンス・アドバンシスで発表された。(c)Xinhua News/AFPBB News