アラビアのオアシスに4000年前の町 「遊牧から都市へ緩やかに移行」
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【10月31日 AFP】フランスとサウジアラビアの考古学者チームは30日、サウジのオアシスで発見された4000年前の要塞化された町によって、遊牧生活から都市生活への緩やかな移行期の生活が明らかになったと米科学誌「プロスワン(PLOS ONE)」に発表した。
「ナタ(al-Natah)」と命名された町の遺跡は、アラビア半島北西部の砂漠にある緑豊かなオアシス「ハイバル(Khaybar)」に隠れていた。今年発表された研究によると、この場所で14.5キロにわたる古代の壁が発見された。
研究を率いるフランスの考古学者ギヨーム・シャーロー(Guillaume Charloux)氏は「これらの壁が居住地を取り囲むように配置されている証拠」をつかんだとAFPに語った。
この町は初期青銅器時代の紀元前2400年頃、最大500人の住民がいたが、約1000年後に放棄された。「理由は分かっていない」という。
ナタの町が建設された時期、現在のシリアからヨルダンにかけてのレバント(Levant)地域(地中海東部沿岸)では都市が繁栄していた。
ナタの壁は黒い玄武岩によって隠されていたため「盗掘から守られた」とシャーロー氏は述べた。だが、上空から遺跡を観察すると、発掘すべき場所の手掛かりとなる道筋や住居の基礎が確認できた。
予備調査では、丘の上に壁に囲まれた約2.6ヘクタールの町があり、約50軒の住居があったと考えられている。壁は高さ約5メートルに達する可能性があり、この町が何らかの強力な地方権力の拠点だったことを示唆している。
また論文は、この町が遊牧生活からより定住化した生活への移行期における「緩やかな都市化」の過程を示していると述べている。
ナタの町は当時のメソポタミアやエジプトの都市と比べると依然、小規模だった。だが、シャーロー氏は、広大な砂漠の中で、都市国家とは異なる「もう一つの都市化への道」が存在したことを示すものだと述べ、それは「より控えめかつ、はるかに緩やかで、アラビア北西部に特有のものだ」と語った。(c)AFP