【10⽉19⽇ Peopleʼs Daily】中国・広西チワン族自治区(Guangxi Zhuang Autonomous Region)憑祥市(Pingxiang)友誼鎮にある中国-ASEAN(崇左)果物取引センターでは、各種の果物を積んだトラックが行き交っている。憑祥市は中国とASEANの果物貿易で最大の中継地であり、今年上半期の果物通関量は、前年同期比15.36%増の164万8700トンに達した。

 中国はベトナムにとって最大の農産物輸出先であり、タイ産果物の主要な輸出先でもある。ベトナムやタイなどにとっては、電子商取引が農産物の対中国輸出の新たなルートになった。今年1~7月の中国の電子商取引サイトを通じてのタイのドリアン販売は前年同期比で48.6%増加した。

 中国社会科学院(Chinese Academy of Social Sciences)世界経済および政治研究所の高凌雲(Gao Lingyun)研究員は、中国とASEANの果物貿易が盛んになった理由として、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定により貿易コストが大幅に引き下げられたこと、迅速な検査検疫などが流通を促進していること、中国とASEAN諸国が越境物流システムを改善していること、中国人消費者がASEAN産の果物のもたらすより多くの選択肢を歓迎していることの4点を挙げた。

 2022年1月1日に発効したRCEPは、加盟国間の農産物貿易協力をより緊密にした。例えばドリアンの場合、RCEPがもたらした通関の利便化が後押しして、2023年1~11月に中国のタイ、ベトナムなどRCEP加盟国からのドリアン輸入額は466億1000万元(約9790億円)で、協定発効前の2021年の1.7倍に達した。

 このほか、西部陸海新通路や中国・ラオス鉄道などの建設が推進され、冷蔵物流が改善されたことで、ASEAN産果物の中国への進出がより有利になった。例えば2024年8月22日までに、中国・ラオス鉄道で輸送された貨物は4300万トンを超え、コールドチェーンで輸送されたタイのドリアンやバナナなどの果物は1万3000トンに達した。

 業界関係者は、「中国とASEAN諸国は果物の季節変動と品目で顕著な相互補完性があります」と指摘した。中国ではリンゴや梨などの温帯果物が多く生産され、ASEANではマンゴーやドリアンなどの熱帯果物が栽培されている。果物の双方向貿易は、果物の供給と流通の最適化に奏功している。

 タイのチャンタブリー県(Chanthaburi)のモンシト・パイサルンタナワット(Monsit Paisarnthanawat)知事は、果物産業の発展は多くの雇用機会を創出しており、タイ東部地域の果物産業従事者は数万人に達し、農民の収入は増加していると説明した。

 中国は参入条件を自由化し、通関を利便化し、中国輸出入商品交易会(広州交易会)、中国国際輸入博覧会(輸入博、CIIE)、中国国際消費品博覧会(CICPE)などの取り引きの場を構築し、ASEANとの果物貿易の規模拡大を推進している。

 高研究員は、ASEAN産の果物は、今後もRCEPなどの枠組みを活用することで、中国市場にさらに浸透していくとの見方を示した。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News