「米国が占領される」 トランプ氏、虚偽主張で移民を悪魔化
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【10月12日 AFP】米大統領選の共和党候補、ドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領は11日、米国が外国人犯罪者の大群に「占領される」という終末論的なイメージを描き、実際には起きていない、移民による犯罪の急増を大統領選の争点にしようと試みた。
トランプ氏はコロラド州オーロラ(Aurora)で選挙集会を開き、80分間演説。「米国は『占領された米国』として世界中に知られている。『占領』と呼ばれている。われわれは犯罪勢力に占領されつつある」と主張した。
さらに、外国人容疑者のポスターを掲げながら、「だが、ここコロラド州、そして全米の皆さんに私は誓いを立てる。2024年11月5日を米国の解放記念日とする」と続けた。
米政府が長年にわたり南部のメキシコ国境の管理対応を迫られる中、トランプ氏は移民による「侵略」が進み、米国人がレイプ・殺害されると主張して懸念をあおってきた。
デンバー(Denver)郊外にあるオーロラは、武装した中南米系移民がアパートで暴れ回る場面を捉えた動画の舞台となった。動画は右派メディアで繰り返し報じられ、拡散した。
この出来事により、オーロラは中南米系移民に脅かされているという虚偽の話が広まり、トランプ氏が大統領選で掲げる、米国が「野蛮人」や「動物」に侵略されているという主張に拍車を掛けた。
トランプ氏は民主党候補のカマラ・ハリス(Kamala Harris)副大統領を「犯罪者」と中傷し、コロラド州ではベネズエラ系ギャングが警官に発砲する許可を受けていると虚偽の主張を展開。さらに、「内部の敵」に言及し、「米国を憎むくずどもに対処しなければならない」と訴えた。
ハリス氏が大統領選で勝利すれば、「2億人が流入し、この国は終わる」とも主張した。
トランプ氏は、「オーロラ作戦」と名付けた大規模な強制送還の一環として、1798年の敵性外国人法を使って外国人ギャングに対処すると表明している。同法は、連邦政府が米国と交戦状態にある国に属する外国人を一斉検挙し、国外追放することを認めている。
暴力犯罪はトランプ政権時に急増し、実際はジョー・バイデン(Joe Biden)政権下で毎年減少している。移民による犯罪率も、米国人によるものより低い。(c)AFP