【10⽉11⽇ Peopleʼs Daily】中国を流れる黄河(Yellow River)は甘粛省(Gansu)、寧夏回族自治区(Ningxia Hui Autonomous Region)、内モンゴル自治区(Inner Mongolia Autonomous Region)、山西省(Shanxi)、陝西省(Shaanxi)の一帯で、「几」の形に大きく蛇行している。その周辺は中国東部に影響を与える黄砂の重要な発生地区であり、黄河の水に泥や砂をもたらす流域でもある。

 甘粛省の民勤県(Minqin)でも、植樹作業が進められている。県林業および草原局の何新民(He Xinmin)副局長によると、同県はバダインジャラン砂漠とトングリ(テンゲル)砂漠の二大砂漠がつながってしまうことを阻止するための重要な生態障壁であり、黄河の「几字蛇行部分」の水源と生態安全を保障する上で重要な地域だ。

 植樹事業の責任者は「住民の皆さんに砂を制圧して林を作ると説明したところ、積極的に参加していただけました」と説明した。ナツメやクコなどの経済植物を植樹するなどで、植樹作業に対して労務費を支払うことで、地域住民の収入増を促進しているという。

 植樹作業に加わった王花蓮(Wang Hualian)さんは「以前は農閑期になると出稼ぎに行きました。ここ数年は植林事業で、年収を約3万元(約63万円)増やすことができ、故郷の生態環境を改善することができました」「吹き飛ばされる砂が少なくなり、作物が砂に埋まることもなくなりました」と語った。

 民勤県全体の造林作業は今年1~5月に700人余り分の労働力を吸収し、労務費の支払いは計350万元(約7400万円)に達した。

 内モンゴル中西部のダラト・ホショー太陽光発電産業基地はクブチ(ホブチ)砂漠の中央部にある。かつて黄色い砂丘だった地に、今では太陽光発電パネルが整然と並んでいる。そして発電パネルの下には畑が設けられている。このクリーン電力の創出と生態管理、有機農法を組み合わせたモデルは、二酸化炭素排出の削減、農民の収入増、企業の効率向上を実現するものだ。容量100万キロワットの施設はフル稼働をすでに開始した。

 中国の生態保護は「保護を優先、修復に重点、適度な利用」の理念に基づき、各地の状況に合わせて「砂を制御して豊かになる」ことを目指して進められている。

 寧夏回族自治区の中衛市(Zhongwei)ではトングリ砂漠の拡大防止プロジェクトと共に観光開発が進められている。

 現地の沙坡頭景勝地では、100メートルの砂滑りやラクダ体験などの「砂漠体験」人気があり、さらに展望スポットから壮大な黄河を眺めることができる。キャンプ場では砂漠の星空を見上げることができる。浙江省(Zhejiang)杭州市(Hangzhou)から来た兪倩(Yu Qian)さんは、「面白いものが多すぎて、1回来ただけでは遊び足りない感じです」と語った。

 中衛市政府で観光業振興を担当する王立軍(Wang Lijun)氏は、「今年のメーデー連休中に、市全体で延べ122万人の観光客を受け入れ、観光収入は7億3200万元(約155億円)に達しました」と説明した。今後もしっかりとした生態保護を前提に、観光資源を徐々に開発し、黄河の自然景観と結び付けて、特色ある観光産業のモデルを構築するという。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News