【10月10日 AFP】世界自然保護基金(WWF)が10日公表した自然界の現状を科学的知見に基づいてまとめた「生きている地球レポート(LPR)」の最新版によると、対象の野生生物種の個体群を分析した「生きている地球指数(LPI)」で、対象の脊椎動物種の個体群の大きさが過去50年間で平均73%減少した。

 LPIは、5000種以上の脊椎動物(哺乳類、鳥類、両生類、爬虫(はちゅう)類、魚類)における3万5000の個体群の調査に基づいている。最新版で、世界中で個体群の大きさの減少が加速していることが示された。

 中南米・カリブ海などの生物多様性に富んだ地域では、個体群の大きさが最大で95%減少した。

 指数の変化率は、動物個体群の大きさの平均的な比例変化を反映したもので、失われた個体数や個体群の数ではない。

 分析対象の脊椎動物種の個体群の大きさは、1970年からの50年間で、73%減少した。そのほとんどは人類による圧力が原因だとされる。

 LPIは国際的な基準となっており、今月コロンビアで開催される国連(UN)生物多様性サミットでもこの指数に焦点が当てられる。

 生息環境ごとの変化では、最も減少が著しいのは淡水域の85%で、陸域の69%、海域の56%と続く。

 WWFフランスのヤン・ロランス(Yann Laurans)氏は、「われわれは海域の生物量の40%を枯渇させてしまった」と述べた。

 地域ごとの変化では、最も減少が著しいのは中南米とカリブ海の95%で、アフリカの76%、アジア・太平洋地域の60%と続く。

 これらの地域と比べると、欧州と中央アジア、北米では減少傾向が「顕著ではない」。

 報告書によると、種の保全と種の再導入のおかげで、一部種の個体群の大きさは安定しており、増加している種もある。(c)AFP