いかにして「小さなリンゴ」で「大きな産業」を構築したか―陝西省延安市
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【10⽉10⽇ Peopleʼs Daily】中国・陝西省(Shaanxi)延安市(Yan'an)安塞区山間部の南溝村のリンゴ園には、真っ赤なリンゴが枝をしならせるほどに実っていた。時は秋、天気は晴れ。収獲には良い日だ。68歳の果樹農家の趙永東(Zhao Yongdong)さんは近隣住民と共にリンゴを摘み、仕分けし、包装し、箱にきちんと詰めた。趙さんは笑いながら「実が赤くなると、心が満たされます」と言った。南溝村のリンゴ産業はますます繁栄している。2023年の村民1人当たりの可処分所得は2万1500元(約45万円)に達した。
延安市では人口226万人のうち約100万人がリンゴ関連の仕事に従事している。関連する農民は80万人で、農民の所得の61%がリンゴによるものだ。
延安市果業センターの路樹国(Lu Shuguo)主任は、地元のリンゴの歴史を語った。1940年に延安自然科学院はリンゴの苗木を導入して試験栽培をした。1947年に市内の若い農民の李新安(Li Xin'an)さんは、河南省(Henan)の霊宝市(Lingbao)からリンゴの苗木200本をロバの背に乗せて持ってきた。
「金持ちになりたきゃ木を植えろ。リンゴの木はゼニのなる木」――。このリンゴ栽培を勧める歌は延安でよく知られている。地元は革新を模索し続けて、かつては不毛だった黄土で、甘くて口当たりの良いリンゴを生産するようになった。
春の花の保護、夏と秋の果実の保護、通年の干ばつ対策、矮化密植(樹高を低くして密に栽培)など、新技術や新モデルは、延安リンゴの優秀果実率を85%以上に引き上げることに結び付いた。
洛川美域高生物科技の展示室には、リンゴジュース、リンゴ酢、リンゴ酒、リンゴチップスなど25種以上の同社製品が並べられている。延安市には約30社の果物加工企業があり、年産能力は約60万トンに達した。
延安市内では現在までに、リンゴを計166万8100トン保管できる冷蔵倉庫が建設された。リンゴは中国と欧州を結ぶ貨物列車の中欧班列に積まれて運ばれて行く。延安のリンゴは「旬の季節に売る」から「四季を通じて売る」に、「中国全国に売る」から「全世界に向けて売る」に変化した。
農業は天候に大きく左右される。しかし、リンゴ農家の張志学(Zhang Zhixue)さんは2019年にひょうの被害を受けた際、被害を補填(ほてん)することができた。960元(約2万円)を支払うことで、保険をかけていたからだ。張さんは「高くありませんが、役立ちます」と説明した。延安市の六つの県区では、リンゴの「保険+先物」の試みが導入された。対象面積は36万ムー(約240平方キロ)で、加入農家は3万戸余りだ。最大で30億元(約630億円)程度までの保障能力があり、実際に支払った金額は1億1000万元(約23億円)に達した。
延安市の2023年におけるリンゴ栽培面積は332万8000ムーで(約2220平方キロ)、生産量は464万4000トンだ。総生産額は506億7000万元(約1兆700億円)だった。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News