【10月10日 Xinhua News】千葉県・幕張メッセで開催された「東京ゲームショウ(TGS)2024」には、中国広東省広州市のゲーム企業20社余りが共同出展し、歴史に題材を取ったゲームの舞台を再現したセットや古典を現代的に解釈したゲーム作品の展示に多くの来場者が足を止めていた。ブースには、つぼに矢を投げ入れる「投壺(とうこ)」や蹴鞠(けまり)、切り絵細工の「剪紙(せんし)」など中国の伝統的な遊びの体験コーナーも設けられた。

 三七互娯網絡科技集団(37インタラクティブエンターテインメント)が展示したシミュレーションゲーム「商人放浪記(あきんどの成り上がり道)」は、中国で展開する「叫我大掌柜」のローカライズ版で、日本ですでに高い評価を得ている。マーケティングを担当する唐佳(とう・か)氏によると、この作品は昔の中国を舞台とした商店経営シミュレーションゲームで、世界に向け配信している。「宋代のビジネス文化」を物語の背景とし、舞台の設計は宋代の絵巻の傑作「清明上河図」を基礎としている。

 業界関係者によると、広州市のゲーム企業は展示会や交流会など多くの国際舞台に参加し、グローバル企業の販路や市場拡大を学び、自社のゲーム製品を世界に向けプロモートしている。海外の企業、特に日本と韓国の企業も広州のゲーム企業との協力を通じ、より多くの優良なゲームリソースを入手しているという。

 広州のゲーム企業が東京ゲームショウに参加する2日前には、広州市商務局が代表団を率いて韓国を訪れ、「広州デジタル文化交流会」を開催した。広州市ゲーム業界協会と韓国モバイルゲーム協会はこの中で、「双方ゲーム産業の発展促進のための枠組み協力協定」を締結し、協力を促進、双方のリソースを共有し、新たなビジネスチャンスを探るとしていた。

 広州発のゲームをはじめとして、中国ゲームが海外市場での売上高を増やしている。四三九九網絡のミニゲーム「菇勇者伝説(キノコ伝説)」は今年1〜6月、海外収益4億ドル(1ドル=約149円)をたたき出し、うち日韓はそれぞれ1億ドルを超えた。広州市ゲーム業界協会の王娟(おう・けん)会長は、広州のゲーム企業の約65%が海外業務を展開しており、2023年のオンラインゲームの海外市場総収益は約215億元(1元=約21円)に上ったと明らかにした。

 伝統文化に根を下ろしながら独創的なアイデアを加えていることが、中国ゲームの海外進出成功の鍵となっている。広州詩悦網絡科技が開発した「長安幻想」は、無形文化遺産の土楼建築を基にしたデザイン、敦煌博物館と連動したイベント、伝統的な油紙傘を原型にした武器など、中国文化の要素をゲームプレーにスムーズに取り入れることで、多くのプレーヤーを魅了している。

 海外進出の方式も変化し、ローカライズした業務効率の高い新しい進出モデルが、従来の進出モデルに徐々に取って代わりつつある。かつてはロールプレイングゲーム(RPG)や大規模多人数同時参加型オンラインゲーム(MMO)を単純に海外に持っていただけだったのが、チーム戦略ゲーム(MOBA)やシミュレーションゲーム、射撃ゲーム、カジュアルゲームなどに進出分野が広がり、ゲームジャンルの融合も起こっている。開拓市場も文化的に近い香港・マカオ・台湾地区や東南アジアに限られていたのが、欧米市場や競争の激しい日韓市場への参入が進み、独自の海外進出ルートが形成されつつある。(c)Xinhua News/AFPBB News