中国で水素エネルギー車が成長期に、EVとは「住み分け」の方向性
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【10⽉4⽇ Peopleʼs Daily】中国国家発展改革委員会などがこれまでに発表した「水素エネルギー産業発展中長期計画(2021-2035年)」では、大型車両では水素燃料電池車に重点を置くことが明記された。
今年に入ってから山東省(Shandong)、四川省(Sichuan)、吉林省(Jilin)、陝西省(Shaanxi)などで水素エネルギー車両の高速道路通行が無料化された。業界関係者は、大きな背景には水素エネルギー産業を発展させる必要性と国策の水素エネルギー関連面への関心があると分析している。
また、広東省(Guangdong)は6月末、水産物、生鮮肉類、青果類の燃料電池配送車両の都市部への進入時間や通行区間の制限を緩和し、期間限定で駐車料金の免除を行うことにした。四川省は全省で水素燃料電池車両の市街地通行の制限を緩和した。
中国汽車工業協会の8月の発表によると、今年1~7月には燃料電池自動車の生産台数が前年同期比28%増、販売台数は同25.5%増だった。統計によると、中国の現在の燃料電池自動車保有台数は約2万台で、世界でも上位だ。
水素エネルギー車の応用も広がっている。四川省交通運輸庁によると、四川省で使われているバスや運送用自動車など、各種水素エネルギー車両は政府が使用する車両を含めて600台を超えた。成都市(Chengdu)、攀枝花市(Panzhihua)、徳陽市(Deyang)、内江市(Neijiang)、資陽市(Ziyang)、涼山イ族自治州(Liangshan Yi Autonomous Prefecture)では水素エネルギーによる路線バスが運行されている。
専門家によると、水素自動車と電気自動車(EV)を比較すると、EVは乗用車や小型軽商用車に適しており、水素エネルギー自動車は水素注入の時間が相対的に短く、低温時の性能劣化が少なく、動力が強いことなどから、現在のところバスや長距離大型トラックなどの分野に進出する流れだ。
中国自動車戦略および政策研究センターが7月に発表した報告によると、2021年下半期以降には中国での燃料電池モデル車両は1万台を突破している。主たる用途は物流、通勤旅客輸送、コールドチェーン物流などで、大型トラックがとりわけ多い。
中国では2023年末時点で、世界で最も多い450か所以上の水素ステーションが建設された。しかし市場は、実需に比べればまだ不足とみている。専門家も水素エネルギー車の問題点としてコスト高と水素ステーションの少なさを挙げる。しかし、問題は徐々に解決されている。燃料電池システムの現在の価格は出力1キロワット当たりで2000~2500元(約4万~5万円)と、2年前の2割程度になった。重要部品の国産化率は80%を超えた。水素ステーションの数も増加し続けている。
中国科学院(Chinese Academy of Sciences)院士の欧陽明高(Ouyang Minggao)氏は、「中国でのEVの発展の過程と比較すれば、燃料電池自動車産業は約10年遅れており、応用コストが急速に低下する成長期に入りつつあります」との見方を示した。中国汽車工程学会(SAE)の予測によると、中国における水素燃料電池車の保有台数は2035年までに約100万台に達する。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News