【10月3日 AFP】ベトナム外務省は2日、中国が領有権を主張する南シナ海(South China Sea)の西沙諸島(パラセル諸島、Paracel Islands)沖で9月29日にベトナム漁船が中国の法執行機関職員に襲撃されたと明らかにした上で、「残虐な行為」だと非難した。

 報道によると、ベトナムの漁師10人が、鉄棒でなぐられた上、魚や装備などを奪われた。

 外務省のファム・トゥ・ハン報道官は声明で、「ホアンサ(Hoang Sa)群島で操業しているベトナムの漁師と漁船に対する中国法執行機関の残虐な行為に断固抗議する」とした。ホアンサ群島は、パラセル諸島のベトナム名。

 国営紙ティエンホンによれば、襲撃を受けた漁師のうち4人がクアンガイ(Quang Ngai)港経由で病院に搬送された。4人は3時間にわたり、中国側の約40人に襲撃されたもよう。

 漁船のグエン・タン・ビエン船長は、「チェック柄の服を着た彼ら(中国法執行機関の職員)は鉄棒でわれわれをめった打ちにした」と話している。船長は襲撃が始まって1時間ほどで気を失ったという。

 同紙のウェブサイトに掲載された映像には、漁師が担架で漁船から運ばれる様子が映っている。1人が足を、2人は腕を骨折したとされる。

 船長は当局に対し、約2万ドル(約300万円)相当の魚と装備を盗まれたと語っている。

 一方、中国外務省の報道官はAFPに対し、「ベトナム漁船が中国政府の許可なく西沙諸島沖の水域で違法に漁を行っていたのを受け、関係当局は法に基づきそれを停止させる措置を講じた」と述べた。「現場での対応は専門的かつ抑制されたやり方で行われ、負傷者は出なかった」としている。(c)AFP