冥王星最大の衛星でCO2検出 ウェッブ望遠鏡
このニュースをシェア
【10月2日 AFP】冥王星の最大の衛星「カロン(Charon)」で初めて二酸化炭素(CO2)が検出されたとする論文が1日、英科学誌ネイチャーコミュニケーションズ(Nature Communications)に発表された。ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(James Webb Space Telescope)による観測で明らかになった。
冥王星は、海王星の軌道の外側に広がるドーナツ状の領域、カイパーベルト(Kuiper Belt)に含まれる。カイパーベルトには、氷の小天体が無数に存在すると考えられている。
論文の筆頭著者、米サウスウェスト研究所(Southwest Research Institute)のシルビア・プロトパパ(Silvia Protopapa)氏はAFPに対し、これらの天体は「太陽系の形成を理解するためのタイムカプセル」だと語った。
同氏によると、カロンはカイパーベルトの多くの天体とは異なり、メタンなどの高揮発性の氷によって覆われていないため、「これら氷の世界」の貴重な一端を垣間見ることができるという。
2015年に米航空宇宙局(NASA)の探査機ニューホライズンズ(New Horizons)が近傍を通過し、カロンの表面が主に水の氷とアンモニアで覆われているということが判明した。
またクレーターを通じて、地下物質の露出があることも明らかになった。これにより科学者たちは、地球上の生命体にとって不可欠なCO2が、カロンの表面にも存在する可能性があると考えた。
ニューホライズンズでCO2は検出されなかったが、より長い波長の光を観測できるウェッブ宇宙望遠鏡が今回、この「未解決の問題」に答えたとプロトパパ氏は言う。
同氏はカロンの表面には、水の氷とCO2の固体であるドライアイスの混合物があると考えられるとし、さらに驚くべきことに、ウェッブ望遠鏡は過酸化水素(H2O2)も検出したと付け加えた。
研究論文によると、過酸化水素の存在はカロンの氷に覆われた表面が遠く離れた太陽からの紫外線や太陽風によって変化していることを示唆している。
プロトパパ氏は、カロンでこれらの化学物質を発見し、それを解明することは、これらの遠い天体、ひいては太陽系の誕生についてさらに解明するための「もう一つのパズルのピース」だと語った。(c)AFP