【10月2日 Xinhua News】中国の秋の味覚として知られる「上海ガニ」。中国では「大閘蟹(ダージャーシエ)」といい、中でも江蘇省宿遷市のものは大きく肉質も良いことから「覇王蟹(バーワンシエ)」と呼ばれる。同市の養殖池を訪れると、養殖農家が懸命に船を漕ぎ、収穫に追われる姿が見られた。

 覇王蟹の養殖販売を手がける地元企業、江蘇覇王蟹現代農業発展の担当者、袁家建(えん・かけん)さんは「毎日約10トンを水揚げしている。中秋節(9月17日)前後から販売を始め、注文は今も増えている」と語った。

 丸々と太ったカニたちが動き回る池は、見たところ、昔ながらの養殖池だが、実際にはデジタル化された養殖システムが導入されている。水中では情報収集センサーが水素イオン濃度指数(pH)や温度、溶存酸素(DO)、アンモニア窒素などを測り、水上では電子スクリーンが水質データを更新し続けている。袁さんは「設備はわが社と地元電力部門が共同で開発した。カニの成長期や脱皮期などには重要な役割を果たしている」と話した。

 宿遷市のカニ養殖の歴史は長く、養殖面積は通年で約40万ムー(約267平方キロ)、年間生産量は6万トンに上り、付随産業を含めた年間生産額は75億元(1元=20円)を超える。

 インフルエンサーによるライブコマースや産地の共同倉庫システム、コールドチェーンによる全国24時間配送などの電子商取引(EC)プラットフォームを通じ、覇王蟹の人気は急速に高まっている。市内にある全国最大のカニ輸出拠点からは日本や韓国、シンガポールなどへも輸出され、海外の食卓に上る。

 インターネットを通じた宿遷産農水産物のブランド化を手がける江蘇宿有千香品牌運営管理の周栄政(しゅう・えいせい)セールスマネジャーは「10月は霸王蟹の蟹味噌も増える。国慶節連休(今年は10月1~7日)は新たな販売ピークで、販売量130トン、売上高650万元超を見込む」と語った。(c)Xinhua News/AFPBB News