【10月1日 AFP】国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)トップのフィリップ・ラザリニ(Philippe Lazzarini)事務局長は9月30日、UNRWAがパレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)で「テロリスト」を雇用しているというイスラエルの主張に対し、UNRWAは「歴史の正しい側にいる」と強く反論した。

 イスラエルは同日にレバノンにおけるイスラム組織ハマス(Hamas)指導者、ファタハ・シャリフ・アブ・アミン(Fatah Sharif Abu al-Amine)氏を「排除」したと発表。同氏がUNRWAに雇用されていたとして非難した。

 スイス・ジュネーブで国連関連の会合に出席したイスラエル代表は「彼(アミン氏)はUNRWAの学校の校長であり、レバノンのUNRWA教員協会の会長だった」と指摘した。

 これについてラザリニ事務局長は、同氏がハマスの幹部だとする告発を今年3月に受け取ったことを認め、UNRWAでは直ちに、調査が行われるまで無給の停職処分とする決定を下していたと説明した。

 イスラエルは、ガザを実効支配するハマスによる10月7日の奇襲に、UNRWAの職員十数人が関与したと非難したが、フランスのカトリーヌ・コロナ(Catherine Colonna)前外相が主導したものを含め、UNRWAに関する一連の調査ではイスラエルの主張の根拠はないとされた。ただ「中立性に関する問題」はいくつか指摘されている。

 先月発表された内部調査では「10月7日の武装攻撃に関与していた可能性がある」職員は9人と報告された。しかし、イスラエルはUNRWAが「ガザで数百人のハマスのメンバーや軍事部門の工作員を雇用している」として非難を続けている。

 これに対し、ラザリニ事務局長は、ガザ紛争開以降、ガザで活動する職員1万3000人のうち少なくとも223人がイスラエル軍の攻撃で殺害され、また同機関施設の3分の2が損傷または破壊されていると反論。

 ラザリニ氏は、UNRWAの活動は「国連の価値観」と国際人道法に基づいて行われており、「これに導かれている限り、どのような攻撃があろうとも、私は歴史の正しい側にいると感じている」と記者団に語った。(c)AFP