【9月27日 CGTN Japanese】第11回シルクロード国際映画祭が21日から25日まで、中国の古都である西安市で開催されました。今回の映画祭では、世界136の国と地域から応募があった計2065作品の中から、270本あまりが上映されました。

 映画祭のコンペティション部門に当たる「ゴールデンシルクロード賞」の審査員には、滝田洋二郎監督の名もありました。滝田監督は米アカデミー賞で最優秀外国語映画賞に輝いた『おくりびと』により広く知られ、それ以外にも『秘密』(1999年)や『陰陽師』(2001年)、『阿修羅城の瞳』(2005年)といった代表作があり、人と人の間の繊細な感情表現に定評があります。そして、初めて手掛けた中国映画の『我爸没説的那件事(Silence of Smoke)』がついに、昨年11月に中国本土で一般公開を果たしました。滝田監督は、中国の映画界との交流がとりわけ多い日本人監督と言えます。中央広播電視総台(チャイナ・メディア・グループ/CMG)はそんな滝田監督を、25日に取材しました。

 第11回シルクロード国際映画祭に審査員として参加した滝田監督は、今までなかったスタイルの作品を見たり新しい発見があってとても刺激的だったなどと今回のシルクロード映画祭の魅力を語り、「普段は見ることのできない映画を見ることができました。人との交流と作品との交流が増えました。映画祭に出品する側も、どんな人に見てもらえるだろうかと、テンションが上がりますし、集中力も高まります。認められた喜びも味わえます。普段あまり触れることのできない作品に出会えることは、映画を作る者にとって大きな意義があります」と、映画祭が貴重なイベントであることを強調しました。

 滝田監督が初めて手掛けた中国映画の『我爸没説的那件事(Silence of Smoke)』については、「最初はうまく行かないところもありました。キャラクターづくりで、日本の父子と中国の父子では、行動によって認め合うという根本的なところが微妙に違うので、非常に伝えづらかったです。リハーサルでは主演の張国立(チャン・グオリー)さんと韓庚(ハン・ギョン)さんに、中国人の行動の仕方を丁寧に説明していただきました」と振り返り、中国人俳優について「自分の役のことだけではなく、この作品にとって何がどう必要なのかと俯瞰的に理解します。作品全体を理解しながらアクティングをしているというスタイルには驚きました。日本でも世界でも少ないことです」と、高く評価しました。

 自身の名作『おくりびと』が米国でリメイクされるかもしれないという噂について尋ねたところ、滝田監督は「シナリオは多少違うかもしれませんが、同じ題材で自分以外の人が撮ったら一体どんなものになるのか、自分とどう違うのかを楽しみたいです。リメイクといっても必ず違う映画になるはずです。映画には監督のすべてが知らず知らずのうちに画面に映りこんでしまうものです。それによって、同じものを撮ってもその人の良さが出るし、もしかしたら、自分の良さが際立つかもしれません。それを見るのがとても楽しみです」と話しました。

 今後の中国映画界とのコラボについては、「自分の求めることを明確にするのが最初の仕事です。映画人とはどこかで分かり会えるものです。最初は互いにアプローチが違いますが、最終的に目指すところは同じなので、人間同士の化学反応が起きる瞬間が現れると思います。それを待ちます」と、大きな期待を示しました。
最後に、滝田監督は若手の映画関係者に向けて「自分を信じて、常に制作現場の真ん中、あるいは最先端にいることです。失敗を恐れないように。若いときの失敗は全部プラスになりますから、真っ直ぐに、自分らしく続けていくことです」というメッセージを発信して、「続けること」の大切さを強調しました。(c)CGTN Japanese/AFPBB News