【9月27日 AFP】ハンガリーのナショナリスト、オルバン・ビクトル(Viktor Orban)首相の政治顧問が、同国はロシアによる侵攻を受けても、ウクライナのように防衛戦争をしなかっただろうと述べ、26日に批判を浴びた。

 政治顧問のオルバン・バラージュ(Balazs Orban)氏は、1956年に発生した反ソ連暴動「ハンガリー動乱」がソ連の介入を受けて圧倒的な軍事力で鎮圧されたのを受け、ハンガリーは「慎重」であるべきことを学んだと述べた。バラージュ氏はオルバン首相の親族ではない。

 バラージュ氏は親政府紙Mandinerが25日に公開した動画で、「56年のことに基づけば、われわれはおそらく(ウクライナのウォロディミル・)ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領が2年半前にしたようことはしなかっただろう。なぜなら、それは無責任だからだ」と主張。

「彼がウクライナを防衛戦争へと導いたのは明らかで、大勢が死亡し、領土も失われた。これは彼らの権利、主権国家の決定であり、そうすることはできる。だが、もしわれわれが助言を求められていたら、勧めなかっただろう」「56年にわれわれは慎重であるべきこと、そして非常に大切なハンガリー国民の命を無駄にしてはならないことを学んだ」と続けた。

 バラージュ氏の発言はSNSで大きな批判を呼んだ。保守派の評論家シュトンフ・アンドラス(Andras Stumpf)氏は、バラージュ氏がハンガリー動乱の英雄たちを軽々しく「愚か者」呼ばわりしたと非難。「(欧州連合〈EU〉と)戦っている好戦的な政府の人間が、攻撃を受けたら自衛せず降伏しろ、それでいいと言っている」と指摘した。

 野党を率いるマジャル・ペーテル(Peter Magyar)氏はバラージュ氏に辞任を要求。フェイスブックに「「バラージュ氏は、ハンガリーの自由を求めて戦った大勢の記憶を侮辱した。彼らのうち数百人には、バラージュ氏と違って、祖国の自由と独立のために命をささげる覚悟があった」と投稿した。(c)AFP