■「一つの共同体」

ケニアでは、密猟や生息地への人の進入により、過去数十年でキリンの個体数が激減した。

リフトバレーで保護されたキリンは、16時間かけてゆっくりと保護区に移動する。道中、危険な橋や低く垂れさがる電線などをやり過ごす必要がある。

到着したキリンは、ポコットとイルチャムスの人々による歓迎式で出迎えられた。しばらくは環境に慣れるために、小さな囲いの中で過ごし、その後に保護区に開放される。保護区には現在、ヌビアキリンとマサイキリン、合わせて約20頭がいる。

歓迎会で人々が歌い踊る中、農家のダグラス・ロンゴモさん(27)は自分らのコミュニティーが変わったと感じると語った。

「団結のために保護区が重要であることを理解できるまでには時間がかかった」とし、多くの人は数十年間リフトバレーで続いた対立を終わらせることに意味を見いだせなかったのだと説明した。

「今は、一つの共同体として生活できており、怯えることなく自由に移動できるようになった」

一方、保護区管理者のセベイさんは、観光業が和解促進の一助になってはいるが、コミュニティー間のわだかまりが完全になくなったわけではないと言う。

それでも「今は平和だ。キリンをたくさん保護しないと」と前向きな姿勢を見せた。(c)AFP/Dylan GAMBA