【9月19日 Xinhua News】中国では人々の消費と健康に対する意識の変化に伴い、伝統行事を祝う食べ物にも変化が生じている。終わったばかりの旧暦8月15日「中秋節」の連休(15~17日)でも、健康と独創性がこの時期欠かせない伝統菓子「月餅」のキーワードになった。

 連休中に訪れた山西省太原市の老舗食品店「天泰昌」では、贈答用の菓子が並び、従業員が梱包や発送に追われていた。店主の李璐(り・ろ)さんは「今年は山西省の古建築が注目されているので、各名所の要素を取り入れた製品を作った。店舗でもネットでも売れ行きはいい」と話した。古県城や晋祠聖母殿、晋祠鉄人、双塔寺など太原の古建築・文化財の造形を取り入れた菓子や月餅をデザインし、無形文化遺産を伝えるギフトセットも製作したという。

 人々の食生活は日増しに多様化、合理化し、健康的な飲食に対する意識も高まっている。それは月餅選びにも見られ、多くの人が餡の栄養や糖分、油脂の割合を重視するようになった。ネット通販やライブ配信でも「低糖質」「低脂肪」「低カロリー」をうたう月餅が増えた。

 病院や薬局も月餅市場に参入し、中国伝統薬の成分を配合した月餅が中秋節に急速に人気を集めている。北京の老舗「同仁堂」は、トウキ(当帰)やオウギ(黄耆)、セッコク(石斛)などの成分が入った特別な月餅ギフトセットを発売した。

 中国データ研究センターが12日に発表した「2024中国月餅業界消費・ブランド現状白書」によると、人々が月餅を購入する際に重視すると答えた項目はギフトセットの仕様が45・8%、味が43・2%、健康(無糖、低糖など)が40・6%となった。国内で健康管理から医療医薬、リハビリ、介護までを含めた「大健康」の概念が広まる中、健康的な飲食を重視する人々の意識が、月餅業界のイノベーションと高度化を後押ししている。(c)Xinhua News/AFPBB News