【9月18日 Xinhua News】中国天津市にある旧浙江興業銀行天津支店ビルに入ると、コーヒーの香りが漂っている。中国で初めて海外に留学した建築師のうちの1人が設計した100年の歴史を持つこの建物は、現在では米国のコーヒーチェーンブランド、スターバックスコーヒーが同市で初めて出店したスターバックス・リザーブ旗艦店になっており、店内に入った弁護士の何秋蔓(か・しゅうまん)さんは「ここにはコーヒー、お酒、お茶が集まっていて、新しい消費体験をもたらしてくれる」と語った。

 中国で最初の沿海開放都市の一つである同市は、180カ国・地域の500余りの港と貿易の往来がある。2021年に国務院が同市など5都市の国際消費中心都市づくりを全国に先駆けて承認して以降、同市にある多くの商業地域が世界とつながり、ファッションやトレンドの消費シーンがますます豊富になっている。

 同市のショッピング街「金街」に隣接し、中国香港特別行政区の不動産デベロッパー、恒隆地産が運営する天津恒隆広場の中庭に入ると、44軒の国際ブランド店舗が次々と視界に入る。

 今年7月末には、2015年に設立された韓国のヨガウエアブランド、XEXYMIX(ゼクシーミックス)が同広場に中国華北地域初の店舗をオープンした。同店舗の謝馨(しゃ・けい)ブランドマネージャーは「開店初日は8万元(1元=約20円)余りの売り上げを達成した。新しい国際ブランドに対する市民の受容度や消費力が十分に示された」と語った。

 同広場の2階にある「OTF加州餐庁(カリフォルニアレストラン)」は、全国に直営店20店舗余りを持つ中国ブランドながら、アメリカンレトロな雰囲気に満ちている。同店の趙雨(ちょう・う)店長は、「天津で初の出店であり、主に洋食を扱い、地元消費者の味覚を解き放つとともに、外国人客も呼び込むことで国際的なグルメ消費シーンを構築する狙いがある」と話した。

 同広場はここ数年、次々と初出店のブランドを誘致しており、シナジー効果が出始めている。同広場の関係者は「2023年以降新たに呼び込んだ110のブランドのうち、33ブランドが初出店だった。現在のテナント入居率は94%に達している」と紹介した。

 同市武清区のアウトレットモール、仏羅倫薩小鎮(フローレンティアビレッジ)を中心とする商業地域は非常ににぎわっており、つい最近も、同商業地域にある「V1汽車世界(オートワールド)」サーキットで世界各地から集まったレーサー30人がレースを行い、約2万人が観戦した。

 サーキットの近くにあり、300余りの世界の有名ブランドが集まる京津仏羅倫薩小鎮は、多くの消費者がレジャーやリラックス、娯楽、ショッピングの場として利用している。この商業地域の投資デベロッパー、標槓環球(北京)諮詢の李学海(り・がくかい)董事長は「小鎮は中国初のイタリア風名品アウトレットパークで、海外ブランド直営、ディスカウントの営業スタイルにより国内外の消費者から喜ばれている」と語った。同社は今年、商業地域内で30余りのプロジェクトを相次ぎ展開しており、投資額は100億元を超えた。

 同市はこのほど、全市ハイレベル対外開放推進会を開き、都市型開放の新たな優位性構築に向けた道筋を明らかにした。同市商務局の孫剣楠(そん・けんなん)局長は「商業地域の建設では、新しいブランドや業態、シーンを取り入れ、多機能で総合的な新しい消費の空間を作り、世界的な魅力を持つ消費環境を形成することに重きを置いている」と語った。

 同市では今年上半期(1~6月)に、国際家具博覧会や国際自動車交易会などの消費関連展示イベントを相次いで開催し、国際的な消費シーンの継続的な革新を推進している。

 財政部、商務部などの部門がこのほど発表した「市中免税店政策の充実に関する通知」では、広州や成都、深圳、天津など8都市にそれぞれ市中免税店1店舗を設立する方針が示された。消費者は市内で事前に購入を済ませ、口岸(出入境検査場)から出境する際に商品を受け取ることができ、市内を離れることなく、より手軽で便利な国際消費体験が可能になる。(c)Xinhua News/AFPBB News