【9月12日 AFP】ドイツ外務省は11日、米大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領によるドイツのエネルギー網に関する発言に反論するとともに、トランプ氏が最近広めている「移民がペットを食べている」という根拠のない主張を嘲笑した。

 トランプ氏は10日、大統領選討論会の終わりに、民主党候補カマラ・ハリス(Kamala Harris)副大統領が水圧破砕法(フラッキング)や化石燃料の使用を拒否していると批判。「ドイツは同様のことを試みたが、1年もたたないうちに通常の発電所建設に回帰した」と述べた。

 これに対しドイツ外務省はX(旧ツイッター)の公式英語アカウントで、「いずれにせよ、ドイツのエネルギーシステムは完全に稼働しており、50%以上を再生可能エネルギーが占めている」と反論。「わが国は石炭火力および原子力発電所を建設しておらず、閉鎖している」とし、2038年までに石炭火力発電を廃止することを目指していると述べた。

 ドイツ外務省はさらに、この機を逃さずトランプ氏が広めている「移民が猫を盗んで食べている」という虚偽の主張をやゆ。「追伸:われわれは猫も犬も食べない」と書き添えた。

 ドイツ政府は、2022年にウクライナ侵攻を開始したロシアがエネルギー供給を削減したことを受け、一時的に石炭火力発電所を再稼働させたり、液化天然ガスの輸入を増やしたりしたことで環境活動家から批判を受けた。

 だがそれ以降、化石燃料の使用を削減しており、 今年上半期の発電電力量構成比は再生可能エネルギー61%、石炭23%となっている。

 ドイツ政府の報道官は11日の記者会見で、トランプ氏の発言について「驚きをもって受け止めた」と述べ、「大統領候補が何を意味しているのか分からなかった」と付け加えた。

 トランプ氏は在任中、軍事費やドイツの対米貿易黒字などのさまざまな問題をめぐり、繰り返しドイツを批判していた。(c)AFP