【9月9日 AFP】フランスの極右政党「国民連合(RN)」を実質的に率いるマリーヌ・ルペン(Marine Le Pen)氏は8日、エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領に対し、移民など重要問題をめぐり国民投票を実施するよう呼び掛けた。直接投票で民意を反映させることで、不安定化している政局の行き詰まりを打開できる可能性があると示唆した。

 ルペン氏は、極右の拠点である北部エナンボーモン(Henin-Beaumont)で演説し、マクロン氏に対し、移民、医療、安全保障などの重要な問題について国民投票を実施するよう要請。RNとしては、「国民に直接決定権を付与するためのあらゆるアプローチを無条件で支持する」と述べた。

「エマニュエル・マクロン氏は、自らが招いた混乱の中で、われわれの民主主義を維持するための手段を持っている」とも語った。

 マクロン氏は先週、欧州連合(EU)のブレグジット(英国のEU離脱、Brexit)担当交渉官を務めた73歳の元外相、ミシェル・バルニエ(Michel Barnier)氏を首相に任命した。

 ただ専門家らは、バルニエ氏の権力基盤は脆弱(ぜいじゃく)であり、国民議会(下院)最大の単一政党となった反EU・反移民のRNの協力に依存することになるため、政局は不安定局面に突入するとみている。

 週末には、バルニエ氏選出に抗議し、仏全土でデモが行われた。デモには10万人以上が参加し、マクロン氏の「強引な権力権力奪取」を非難した。(c)AFP