「幅1メートルの商品陳列ケース」から始めて地域と共に大成長した企業―深セン
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【9⽉12⽇ Peopleʼs Daily】中国・広東省(Guangdong)深セン市(Shenzhen)内の華強北はその日の朝もにぎやかだった。盧東立(Lu Dongli)氏は人波をかき分けて電子科技大廈のビル内にある智方舟国際スマートハードウエア革新センターに入った。盧氏は2006年に華強北で半導体の売買を始めた。5年後には集佰睿科技という会社を創業し、賽格科技園区内に「幅1メートルの商品陳列ケース」を置くようになった。集佰睿科技は2022年10月に市中心部のオフィスビルに越した。「幅1メートル」の占有スペースしかなかった会社が、300平方メートル以上のオフィスを持つ企業に変身した。
華強北には、盧氏のような創業者が数え切れないほどいる。改革開放前には水田だった華強北は、深セン経済特区の設立に伴い、大企業が次々に工場を建設することになった。華強北の電子産業は規模を徐々に拡大し、深セン市内で起業が最も集中する地域の一つになった。
盧氏の会社は1か月前、年間4万個の電源ICを受注した。その顧客は前日の午前になって、状況を確認する電話をかけてきた。そこでサプライヤーに連絡したところ、市場の相場が上昇したので、取り決めた価格は無効と言われた。盧氏はサプライヤーの変更を即断した。華強北はわずか1.45平方キロメートルの範囲に約11万の大小の業者がある。2時間近くをかけて十数件の電話をした。盧氏の表情からは次第に険しさが消えていった。
盧氏は電源ICの新たな調達先を選んだ。その会社が入居するビルまでは歩いてわずか10分足らずだった。サンプルを手に入れて、包装と型番を確認し、標識も確認した。さらに第三者機関に送って検査してもらい、「問題なし」との結果を得たことで発注を決めた。
集佰睿科技は2018年から代理業務を拡大し、顧客にプランの選択や製品の量産についての技術サポートを提供するようになった。盧氏が「単一の業務に絞れば儲かるのは早いがリスクが大きい。多元的なサービスをすればより安定する」と考えたからだ。集佰睿科技は技術サービス業務に力を入れたことで、長江デルタ、珠江デルタ、東北地方で約900社の新規顧客を得た。売り上げは年率で約15%の割合で増え続けた。今では同社の売り上げのうち、技術サービスによるものが約4割に達した。
華強北そのものも大きな変革の道を歩んでいる。2023年には10万平方メートルの業務用スペースが新たに追加され、整備された電子市場13か所の入居率は80%を超えた。2024年になってからは、インキュベーター14か所に400社以上が入居した。地域を出入りする人数は1日平均で延べ100万人を突破した。
華強北は「世界の電子デバイス取り引きセンター」「世界のハードウエア創業センター」「国際的に最先端の電子製品購入センター」という自らの新たな位置付けを打ち出して成長を続けている。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News