【9月7日 AFP】ウクライナ最高会議(議会)人権委員会のドミトロ・ルビネツ(Dmytro Lubinets)氏は5日夜、軍の徴兵担当者に拘束・殴打されて死亡したとする男性の娘からの通報を受けて、検察に捜査を開始するよう要請した。

 ウクライナはロシアによる侵攻開始から2年半以上が経過する中、深刻な兵員不足に直面。今年に入ってから兵員を補充するため動員法を厳格化している。

 ルビネツ氏は通信アプリ「テレグラム」に、西部ザカルパッチャ(Zakarpattia)州の人権委員会支部にウクライナ人女性から通報があったと投稿。

 女性によれば、父親は軍の徴兵担当者に「違法に」拘束・殴打され、「そうした行為が死亡につながった」という。

 ルビネツ氏は「至急、包括的かつ公平な捜査を行う必要がある」とし、検事総長に捜査を要請したと説明。通報内容が事実なら、徴兵担当者を「裁判にかけなければならない」とも述べた。

 さらに、ザカルパッチャ州では軍の徴兵センターによる「違法行為に対する苦情の数」が「増加している」と指摘した。

 同州の徴兵センターは6日、フェイスブックで通報内容を否定した。

 ウクライナの最西端に位置するザカルパッチャ州は前線から最も遠く、ロシアによる空爆被害が最も少ない州の一つ。

 特に侵攻の影響が少ない西部では、徴兵担当者による暴力や虐待がしばしば批判されており、こうした行為について、一部のメディアは「徴兵対象年齢の男性狩り」と非難している。(c)AFP