【9月7日 AFP】鎮静剤で妻の意識を失わせ、インターネットで募った男72人にレイプさせたとして起訴されたフランス人ドミニク・ペリコ(Dominique Pelicot)被告(71)の裁判で6日、被告と被害者の娘が証言し、被告は「過去20年で最悪の性犯罪者の一人」だとの見解を示した。

 ドミニク被告は、2011年から2020年にかけて、妻のジゼル・ペリコ(Gisele Pelicot)さん(71)に睡眠薬を飲ませて意識を失っている間にネットで募った数十人の男にレイプさせるなど、本人が知らない間に性的に虐待していたことを認めている。

 捜査当局によれば、ジゼルさんに対するレイプは約200回行われた。半数超はドミニク被告によるもので、ネットで募った男によるものは90回超だった。

 当局はドミニク被告の他に72人の男の関与を確認。うち計50人の身元を特定した。全員が起訴されている。50人の年齢は26~74歳。

 ドミニク被告はジゼルさんへのレイプを詳細に記録しており、ショッピングセンターで女性のスカートの中を盗撮しているところを警備員に取り押さえられ、警察にパソコンを調べられたのをきっかけに事件が発覚した。

 現在、離婚手続きを進めているジゼルさんは、長年にわたり奇妙な物忘れなどの健康問題に悩まされていたところ、警察から連絡を受けた。

 仏南部アビニョン(Avignon)で始まった公判の5日目となる6日午前、証言台に立った娘のカロリーヌ・ダリアン(Caroline Darian)さん(筆名、45)は「(ドミニク被告の所業を)知った今、私たち家族はどうやって立ち直ればいいのか」と語った。

 ダリアンさんは、ドミニク被告による性的虐待疑惑を知った経緯を説明。2020年11月2日、捜査当局の事情聴取に応じたジゼルさん本人から伝えられたと証言した。

「文字通り、私の人生はひっくり返った」

「母はこう言った。『一日の大半を警察署で過ごした。あなたのお父さんは私に薬物を飲ませ、知らない男たちにレイプさせていた。その写真を見せられた』と」

「それがいわゆる転換点、底の知れない地獄への緩やかな転落の始まりだった」とダリアンさんはおえつしながら語り、「私は兄弟たちに電話した。私たち家族に何が起きていたのか、分からなかった」と続けた。

 3日に行われた公判2日目では、ドミニク被告のパソコンに残されていた「娘関連 裸」と題したフォルダからダリアンさんの裸の合成写真も見つかったと裁判長が説明する中、公判開始から20分もたたないうちにダリアンさんは泣きながら法廷を後にした。

 ダリアンさんは2022年に「Et j'ai cesse de t'appeler papa(そして私はパパと呼ぶのをやめた)」という本を書いている。(c)AFP/Philippe Siuberski