【9月5日 AFP】精子提供を通じて550人の子どもの父親になったと主張するオランダ人男性が、自らを題材にした米動画配信大手ネットフリックス(Netflix)の人気ドキュメンタリー番組「1000人の子どもを持つ男(The Man With 1,000 Kids)」は「扇情的」だとして、同社を提訴していると明らかにした。

 オランダ人のヨナサン・メイヤー(Jonathan Meijer)さん(43)は3日深夜に出演したトークショーで、同番組は自身と提供先の家族を中傷するものだと述べ、法的措置を取っていると語った。

「1000人の子どもを持つ男」は、メイヤーさんが生物学上の父親である可能性がある子どもは最大3000人いるとしている。

 しかし、メイヤーさんはこれを否定。「550人。それが確実に分かっている数だ。それ以上は臆測にすぎない」と述べた。

 さらに「だからこそ、そうしたうそと闘うために訴訟を起こした」と述べ、自身を関わらせずに放送された同番組を「扇情的だ」と批判した。

 メイヤーさんは2007年に精子ドナーとしての活動を開始して以降、550~600人の子どもの誕生を支援した。

 昨年、オランダの裁判所がメイヤーさんに精子の提供をやめるよう命じたことから、メディアの注目が集まった。同国の臨床ガイドラインは精子ドナーについて、12家族、25人以上の子どもの父親になってはならないと定めている。

 裁判所は、メイヤーさんが提供先の家族に過去の精子提供について誤った情報を伝えた結果、生まれた子どもたちは「知らない間に数百人の異母きょうだいを持つ巨大な親族ネットワークの一部」になっていると指摘。

 このことが自己認識の問題や偶発的な近親相姦の恐れなど、子どもたちに心理社会的な影響を及ぼす可能性が「十分あり得る」と続けた。

 メイヤーさんはトークショーで、これまでに精子を提供した家族が2人目、3人目の弟妹をもうけることを望んだ場合を例外として、2019年に精子提供をやめたと語った。また、ドキュメンタリー番組のせいで「世間に顔が知られてしまった」子どもたちのために、番組の削除を求めていると述べた。(c)AFP