中国ゲーム「黒神話:悟空」、重慶大足石刻の石像を再現
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【9月3日 Xinhua News】中国初のAAAタイトル(多額の開発費を投入した超大作、AAA=トリプルエー)として8月20日に世界で発表されたアクションRPG「黒神話:悟空」は、古典小説「西遊記」を舞台にした精巧で美しい画面や重厚な文化背景が多くのゲーマーの注目を集めている。ゲームには重慶市大足区の世界遺産「大足石刻」を代表する四つの仏像「地獄変相龕(がん)」「観無量寿仏経変相龕」「千手観音龕」「護法神龕」も取り入れられ、千年の歴史を持つ石窟の文化と芸術的価値を人々に伝えている。
大足石刻は大足区内に点在する磨崖像(まがいぞう)の総称。5万体の石窟像は9~13世紀における世界の石窟芸術の最高水準とされ、「世界石窟芸術史の最後の功績」と呼ばれる。
大足石刻研究院の李小強(り・しょうきょう)研究館員によると、石刻の造営は唐代初期に始まり、宋代に最盛期を迎えた。造形は石門山の天蓬元帥や千里眼、順風耳、北山の唐僧取経図など、ゲームの題材となった「西遊記」と同様に民間神話が多く取り入れられ、中でも千手観音像は「西遊記」の観音菩薩と同工異曲といえる。
李氏は「黒神話:悟空」が大足石刻をシーンに取り入れ、文化財を活用したことについて、彫刻とゲームの情景が生み出す相乗効果が中国伝統文化の魅力を示すと同時に、世俗的な特色を持つ大足石刻とゲームという生活様式の有機的結合が、石刻に新たな活力をもたらしたとの見方を示した。
ゲーム制作チームは開発過程において、石刻をより良く再現するために何度も現地調査を実施した。ゲームの美術制作に携わった南京兎角科技の共同創業者、費揚(ひ・よう)氏は、チームを率いて石刻一つ一つのデータを高精度の設備で細部まで収集し、石刻のディテールと色彩を再現。文化財保護のため高所ではドローンを使い、人の手が文化財に接触するのを避けた。
費氏は、大足石刻の代表的な石像を実景のスキャンと精細なモデリングを通じてゲーム内に再現することで、プレーヤーが貴重な文化遺産を近距離で鑑賞できるようにしたと語った。(c)Xinhua News/AFPBB News