【9月3日 AFP】デンマーク自治領グリーンランドの政庁所在地ヌーク(Nuuk)で7月に拘束され、日本が身柄引き渡しを求めている反捕鯨団体「シー・シェパード(Sea Shepherd Conservation Society)」の創設者、ポール・ワトソン(Paul Watson)容疑者(73)がこのほどAFPの取材に応じ、勾留はクジラを救う活動の妨げにはならないと語った。

 ワトソン容疑者はヌーク拘置所の面会室でAFPのインタビューに応じた。「彼らが(勾留によって)私たちの抵抗を阻止できると考えているのであれば、私は船を変えただけだ。私の今の船は、ヌーク拘置所だ」とほほ笑んだ。海が見える近代的で灰色の拘置所の独房の窓からは、クジラや氷山が通り過ぎるのも見えるという。

 リアリティーTVシリーズ「Whale Wars(ホエール・ウォーズ)」への出演でも知られるワトソン容疑者は、海上での捕鯨船団との衝突など、過激な戦術で知られる。

 今年7月、日本の要請を受けて国際刑事警察機構(インターポール、ICPO)が2012年に発行した「赤手配書」に基づき逮捕された。2010年に南極海で日本の捕鯨船に対する妨害行為を指示したとして、海上保安庁は傷害と威力業務妨害の疑いで逮捕状を取得し、国際手配。日本は、2010年の衝突でワトソン容疑者が捕鯨活動を妨害するために悪臭弾を使用し、日本人乗組員を負傷させたと非難している。

 逃亡の恐れがあるとして、デンマーク政府が身柄引き渡し要請に応じるか判断を下すまで勾留が続いている。ワトソン容疑者は、2012年にコスタリカからの要請によりドイツで逮捕された際は、毎日警察に出頭することを条件に保釈されたが、身柄の引き渡しを避けるために出国した前歴がある。

 今回の件は、日本による自分への報復だとワトソン容疑者と弁護団と主張している。

「日本の捕鯨の邪魔をすればこうなるという見せしめにしたいのだ」と、厚手の灰色のセーターを着たワトソン容疑者は語った。

 ヌークの裁判所は4日、勾留延長に関する審理を開く。

「弁護士からは、延長されるだろうと聞かされている」とワトソン容疑者は明かした。