【9⽉9⽇ Peopleʼs Daily】中国・福建省(Fujian)の晋江市(Jinjiang)内にある晋江港益新材料集団傘下の港益繊維製品の工場入り口には、朝早くから大型トレーラーが止まっていた。積み荷は廃棄ペットボトルを圧縮した長さ1.5メートル、幅と高さが1メートル近くの塊だ。晋江港益新材料集団の蔡金鍾(Cai Jinzhong)社長は「毎日200トンのペットボトルの圧縮塊が運ばれてきます」と説明した。

 工場内ではボトルの圧縮塊が色とりどりのボトルにばらばらにされた。するとラベル剥離機がボトルのラベルをこそげ落とした。ボトル本体は色ごとに自動分類された後に、キャップもろとも断裁された。ボトル本体とキャップの断片は次の洗浄機の中で比重の違いにより別々になる。

 蔡社長は「かつてはこれらの作業のすべてを人手でやっていました。遅いし、エネルギーや水を大量に消費しました」、「ラインには75人の労働者が必要でした」などと説明した。業界は乱れていて、経費節約のために汚水処理をしなかった企業も多かったという。しかし環境関連の行政の管理が厳しくなり、ずさんな操業をしていた工場は閉鎖させられた。「残った企業は環境保護をより重視せねばなりません。環境保護分野の改革が業界全体の進歩を促していると言えます」とのことだ。

 ボトル片は巨大な回転ドラムの中で乾燥され、加熱されて融け、紡糸機により細いポリエステル繊維になる。この再生繊維は他の企業に送られて靴用不織布、自動車内装などの原料になる。有名ブランド品に生まれ変わる廃棄ボトルも多い。キャップ部分は別の企業に送られてセーフティーネットに加工される。ラベルはスリッパの充填物に加工される。

 蔡社長と夫は20年以上前、靴用不織布を生産する会社を立ち上げた。その後、廃棄ペットボトルを利用して再生繊維を生産する事業に着手して、2016年にはボトルの全自動洗浄ラインを導入した。蔡社長の会社は靴材用不織布の「国家製造業種目別優勝」も果たした。蔡社長は改革開放政策による達成感を感じているという。

 科学技術の進歩は会社に発展の新たな力をもたらした。新製品や新工程を開発する技術研究のための大学との協力関係を構築した。会社は3回にわたる技術の大改革を経て、洗浄ラインを全自動化した。蔡社長は、「ボトルをボトル片にするまでの光熱費は半分、人件費は3分の1になりました」と説明した。

 晋江港益新材料集団は再生繊維分野の重点企業として、国家級のグリーン工場およびハイテク企業に選ばれ、省の循環経済モデル試行企業に指定された。同集団は2023年、廃棄ペットボトル約27億本、廃棄された布の端切れ4万トン以上を利用して、ポリエステル繊維約10万トンを生産した。

 蔡社長は今後について「国はグリーンと低炭素の発展を重視しています。グリーン発展の理念は人々の心により深く浸透しつつあります。再生資源業界の未来は必ずさらに素晴らしいものになります」と、自信に満ちた表情で話した。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News