【9⽉7⽇ Peopleʼs Daily】中国は産業用ロボットの使用台数が世界で最も多い国だ。しかし従来型の産業用ロボットはあらかじめ設定された作業しかできず、複雑な動作への対応能力が極めて低い。そのため現在では、産業用人型ロボットの開発が急速に進められている。しかし、工場でのさまざまな作業の要求にしっかり対応する人型ロボットの開発は、実に困難だ。

 広東省(Guangdong)深セン市(Shenzhen)に本社を置く優必選科技(UBTech Robotics)の焦継超(Jiao Jichao)副総裁は、開発当初に最大の問題になったロボット関節について紹介した。「中国国内では調達不能で、海外製品は必要を満たしませんでした」という。

 ロボット関節の要の部品がサーボドライブだ。人型ロボットには大出力サーボドライブは50~100種、小出力サーボドライブが40~80種使用される。同社は小トルクのマイクロサーボドライブから、「爆発的」な力の大トルクサーボドライブまでの研究開発と商業化を行い、それまで4割程度だったサーボドライブの国産化率を9割以上に引き上げた。そのことで、ロボットの腕と脚をより小さくし、歩行がより自由で、運搬や仕分けなどの高負荷作業を安定して行えるようにできた。同社はロボットの手足のモジュール化も実現した。異なる「手」や「足」を用意しておき、作業に応じて交換できるようにしたのだ。

 同社のビッグデータや人工知能(AI)などの専門家は、工場の現場に適応できるよう、学習と訓練によって人型ロボットを最適化している。例えば、周囲の環境が持つ情報の意味をより高度に認識して自分の行動に反映させる高度なセマンティック・ナビゲーションの能力を付与した。焦副総裁は、「人型ロボットは自分が何をする必要があるかを知り、自律的に仕事を割り振り、さまざまな作業場でさまざまな操作を実行します」と説明した。

 産業用人型ロボットの導入に極めて熱心なのが自動車製造業界だ。ただし、メーカーによって求めることが異なるので、ロボットが工場で「研修」することが極めて重要だ。同社は東風汽車(Dongfeng Motor)傘下の東風柳州汽車、第一汽車集団(FAW Group)とフォルクスワーゲン(Volkswagen)の合弁企業の一汽フォルクスワーゲン(FAW-Volkswagen)、吉利汽車(GEELY)などの自動車企業と提携しており、焦副総裁は「自動車メーカーは人型ロボットに検証と試験の機会を提供します。これによってデータを収集し、アルゴリズムを更新し、性能をさらに向上させることができるのです」と説明した。年内には、最初の人型ロボットが納入され、自動車製造現場で「勤務」する予定だ。

 人型ロボットには7000種以上の部品が必要だ。広東省はここ数年来、人型ロボット産業を積極的に配置し、いくつかの基幹技術で飛躍を遂げた。サプライチェーンも日増しに改善されている。広東省工業情報化庁が今年になり発表した「未来スマート設備産業クラスター育成行動計画」では、人型ロボットについても2035年までに広東省を世界における革新の拠点にすることが打ち出された。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News