【9月1日 AFP】ノルウェーのマッタ・ルイーセ王女(Princess Martha Louise、52)が8月31日、シャーマンを自称する米国人男性デュレク・ベレット(Durek Verrett)氏(49)と結婚式を挙げた。代替医療の信奉者同士の結婚に、ノルウェー国民は眉をひそめている。

 結婚式は、ノルウェー西部のフィヨルドにある風光明媚(めいび)な村、ガイランゲル(Geiranger)の丘の上に立つホテルで執り行われた。

 祝賀行事は29日のパーティーで始まり、スウェーデンのビクトリア皇太子(Crown Princess Victoria)夫妻ら350人以上の招待客が出席した。

 ベレット氏よると、二人はすでに結婚の誓いを交わしており、31日の結婚式はそれを更新するものになったという。

 マッタ・ルイーセ王女は、ハラルド国王(King Harald)とソニア王妃(Queen Sonja)の長女。王位継承順位は、弟のホーコン皇太子(Crown Prince Haakon)とその子ども2人に次ぐ第4位。離婚歴があり、前夫との間に3人の娘がいる。自分には霊能力があり、天使と会話できると主張。この「才能」を活用し、著書や講演で利益を得ている。

 王女は、メディアに魔女狩りの標的にされていると主張している。

 だが、批判のほとんどはベレット氏に向けられたもので、メディアは同氏を「ペテン師」「偽医者」と呼んでいる。

 米カリフォルニア州出身のベレット氏は「シャーマンの家系の6代目」を自称。著書の一つで、がんは選択の問題だと主張。女性の膣に過去の性的パートナーが残した「刻印」を取り除くためのエクササイズを推奨している。

 ウェブサイトでは「魂の最適化ツール」だとするメダルを222ドル(約3万2000円)で販売。このメダルは、自身が新型コロナウイルスに感染した際の回復に役立ったと主張している。

 自身の前世は古代エジプトのファラオ(王)で、マッタ・ルイーセ王女はその妻だったとも主張。グウィネス・パルトロー(Gwyneth Paltrow)さんやアントニオ・バンデラス(Antonio Banderas)さんら、米ハリウッド(Hollywood)のスター俳優からも崇拝されている。

 ベレット氏は自分の信仰が一部の人に不安を感じさせるかもしれないことを認める一方、英国のヘンリー王子(Prince Harry)と結婚したアフリカ系米国人のメーガン妃(Meghan, Duchess of Sussex)と同様、自身は人種差別の被害者だと主張している。

 ベレット氏は2022年6月、「白人が私たちにあらゆる憎しみと殺害予告を送ってくる。王室に黒人男性が加わるのを見たくないからだ」とインスタグラムに投稿した。

 王女は2022年6月の婚約発表後、「私はとてもスピリチュアルな人間で、それを受け入れてくれる人と一緒にいられるのは本当に素晴らしいことだ」とインスタグラムに投稿した。

 二人の結婚は王室支持率低下の一因となっている。国営テレビNRKの世論調査によると、王室支持率は2017年の81%から、今週は68%に低下した。

 支持率低下には、メッテ・マリット皇太子妃(Crown Princess Mette-Marit)がホーコン皇太子と結婚する前にもうけた息子マリウス・ボルグ・ホイビー(Marius Borg Hoiby)容疑者(27)が起こしたスキャンダルも寄与している。

 ボイビー容疑者は8月、コカインとアルコールを摂取して交際相手の女性に暴行を加えたことを認めた。その後、同容疑者と過去に交際していた女性2人も同様の被害を受けたと名乗り出た。

 ノルウェー国民の10人中4人は、過去1年間で王室に対する見方が以前よりも否定的なものになったと回答。その多くが原因としてマッタ・ルイーセ王女とベレット氏、ボイビー容疑者を挙げている。(c)AFP/Pierre-Henry DESHAYES