【9⽉6⽇ Peopleʼs Daily】大型ダムは水道や農業用水の獲得、発電、水害防止などに大いに役立つ。しかしダムを建設すれば産卵のための魚の遡上(そじょう)が阻まれる。中国・陝西省(Shaanxi)漢中市(Hanzhong)にある引漢済渭プロジェクトの黄金峡水利枢軸の施設では、ダム建設に伴って長さ1908メートルの生態魚道と呼ばれる水路が設けられた。産卵期には1日当たり約3000匹の魚がこの水路を遡上する。中国の大型建設工事では魚類や陸上動物類の通路確保が「標準装備」になりつつある。

 世界で標高が最も高く、路線が最長の高原鉄道である青蔵鉄道(青海チベット鉄道、Qinghai-Tibet Railway)では、建設当初から15億4000万元(約311億円)を沿線の生態保護に投入し、野生動物専用の移動通路33本を設けた。さらに列車が通過する際に警笛を鳴らすことを厳禁し、野生動物への影響を減らすために最大限の努力をしている。

 河北省(Hebei)保定市(Baoding)内にある高速鉄道の雄安駅では、駅舎屋上に太陽光発電パネル1万7700枚が敷き詰められた。年平均発電量は約580万キロワット時で、毎年標準炭1800トン分を節約し、二酸化炭素排出量を4500トン削減することができる。その効果は12ヘクタールの植樹に相当する。

 港珠澳大橋(Hong Kong-Zhuhai-Macao Bridge)の建設過程では、かつて1200頭だった中華シロイルカが2000頭以上に増えた。同橋の建設は、中国の橋梁(きょうりょう)建設で「真に強くなった」ことを示すだけでなく、人類と海洋の調和の象徴でもある。

 広東省(Guangdong)の深セン市(Shenzhen)と中山市(Zhongshan)を結ぶ深中通路の重要施設である海底沈管トンネルの全長は5035メートルで、沈管を製造工場から設置場所まで50キロ水上輸送する必要があった。そこで斬新なアイデアである沈管輸送設置一体船の利用が採用され、従来の方法と比べて航路確保のための浚渫(しゅんせつ)掘削量が1000万立方メートル以上減少し、排気ガス量を約100万立方メートル削減することができた。

 人と自然の調和と共生の高みに立って計画する。環境側の負担能力を最重視して高いレベルの環境保護を実行して発展の新たな駆動力や新たな強みを絶えず獲得し、発展に伴う環境の代価を低減し、発展の潜在力と底力を増強する。そうしてこそ、経済および社会と生態に対する効果を同時に高めることができる。

 中国式現代化は人と自然が調和して共生する現代化だ。「美しい自然こそが最大の財産」という理念をしっかりと確立し、実践し、グリーン科学技術の革新と先進的なグリーン技術の応用を加速し、産業のデジタル化・スマート化とグリーン化の深い融合を推進せねばならない。

 大規模工事では生態を考慮し、発展への貢献も考慮せねばならない。大局に着目するだけでなく、小さな部分にも手を抜かず、先手を打って主体的に進めていけば、この世の奇跡をより多く創出し、中国式現代化の新たなページを開くことができる。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News