中国が「観光を武器化」、台湾との断交求め圧力 パラオ大統領
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【8月16日 AFP】太平洋の島国パラオのスランゲル・ウィップス(Surangel Whipps)大統領は14日、中国が「観光を武器化」し、台湾との外交関係を断つよう圧力をかけてきていると非難した。
パラオは、台湾と外交関係のある12か国の一つ。中国は、台湾を領土の不可分の一部と見なしており、近年では、ソロモン諸島、キリバス、ナウルが台湾と断交し、中国と国交を樹立した。
ニュージーランドのウィンストン・ピーターズ(Winston Peters)外相の公式訪問を受ける中、ウィップス氏は記者会見で、中国は人口1万8000人の小国パラオにも、後に続くよう圧力をかけていると批判。
「われわれは台湾と外交関係を結んでいるが、中国はそれが違法であり、台湾を(国家として)承認すべきではないと公然と伝えてきている」と明かした。
中国はパラオに対し、「限界はない。必要なものは何でも与えられる」とも述べたという。
だがウィップス氏は、「わが国は経済発展を必要としているが、同時に価値観やパートナーシップの面で台湾との関係を大切にしている」「われわれは中国と友人になる用意はあるが、台湾との関係を犠牲にすることはない」と強調した。
さらに、中国は「観光を武器化」して、パラオを訪れる観光客数に影響を与えようとしていると批判した。
国際通貨基金(IMF)によると、パラオでは観光業が国内総生産(GDP)の約半分を占めている。
ウィップス氏は「中国のニュースでは最近、パラオは危険で訪れるべきではない場所だと言われている」と述べた。
ウィップス氏は5月、台湾の頼清徳(Lai Ching-te)総統の就任式に出席したが、この直前に、中国のマカオ特別行政区で開催された太平洋アジア観光協会(PATA)の会議へのパラオの参加を阻止されたことも明かし、「これがわが国が直面している現実だ」と訴えた。
ウィップス氏が中国による内政干渉を批判するのはこれが初めてではない。
6月にパラオが大規模なサイバー攻撃を受けた際にも、中国を名指しで非難。データを分析した結果、サイバー攻撃で使われたランサムウエアはロシアで開発された可能性が高く、マレーシアから送信され、「中国とのつながりがあるようだ」と述べた。(c)AFP