■極めて大きいAIの可能性

 AIは特定のニーズに応えることができる福祉支援技術──そう話すのは、英ユニバーシティー・カレッジ・ロンドン(UCL)のチョ・ヨンジュン(Youngjun Cho)准教授だ。

 UCLのグローバル・ディスアビリティ・イノベイティブ・ハブ(Global Disability Innovation Hub)にも勤務するチョ准教授は「その可能性は極めて大きい」とし、「この技術は多くの人に力を与え、個の自立を後押しするでしょう」と続けた。

 例えばAIは、聴覚に障害のある人のために話し言葉をテキストにしたり、学習障害のある人が履歴書を書くのを補助したりすることができる。

 デンマーク発の「ビーマイアイズ(Be My Eyes)」は視覚障害者のためのアプリだ。助けが必要な時にボランティアとライブチャットでつながることができる。Be My EyesはOpenAIと共同で双方向の対話が可能な「デジタルの視覚ボランティア」となることを目指している。

 しかし、障害とアクセシビリティーの専門家で自身も全盲である伊敷政英(Masahide Ishiki)氏によると、ChatGPTはその応答の自然さゆえにユーザーが誤った情報をうのみにしてしまう危険性があるという。

「リアルタイムの画像認識の精度を上げる。要は人間の目にいかに近づけるか」が生成AIにとっての次の段階と話す。

 障害者支援英団体、テック・フォー・ディスアビリティ・グループ(Tech for Disability group)のマーク・ゴブロット(Marc Goblot)氏は、生成AIが一般多数のユーザーから積み上げられたデータベースの上に成り立つがゆえに、少数派の視点を反映しづらい点についても指摘する。

 藤本さんも今回のAIとの「旅」で、ChatGPTには日本語や日本の地名を認識する力がまだまだ限定的であることを実感したという。

 AIを使った今回の試みは「楽しかった」が、ChatGPTを地図アプリと連携させることができればもっと楽に到着できたはずだと振り返る。

 藤本さんは昨年、グーグルマップ (Google Map)や周りの人たちの助けを借りて欧州を旅行した。次の旅の行き先はすでに決めている。鹿児島県屋久島だ。

「何が起きるかわからないけれど、そういうところを旅すると、どうなるんだろう。やってみたいな」 (c)AFP/Harumi OZAWA