【9月26日 AFP】ウクライナ東部ドネツク(Donetsk)州のポクロウシク(Pokrovsk)戦線までわずか数キロの集落で、ビタリー・アシネンコさん(46)は同僚が電線工事を行う様子を不安げに見守っていた。

 空は雲に覆われ、空気がしんとしている。「こんな天気だと、爆弾が飛んできても見えない」と話す。

 ロシアは数か月前から、ウクライナの脆弱(ぜいじゃく)なエネルギー網と発電所を空爆。数百万人が電気のない生活を強いられている。

 ウクライナの電力会社DTEKで働いているビタリーさんは、ロシア軍による連日の攻撃で停電が起きたポクロウシク近郊で、復旧工事を仲間と共に請け負っている。

「民間人の避難場所と人道支援物資の配給拠点は、確実に通電されるようにしておかないと」と説明した。

「最近は自爆型ドローン(無人機)攻撃を受けるリスクもあり、とても危険になってきた」と話す。

 自身のチームも軍部隊同様に「標的」にされるようになり、この地区で負傷した同僚もいるという。

 数メートル上では、旧ソ連時代の高所作業車に乗った同僚が、砲弾の破片で断線した電線を急いでつなぎ合わせていた。

 遠くで爆発音が鳴り響いた。

「ロケット弾だ」。ビタリーさんは作業に戻った。