【8月5日 CGTN Japanese】国際学術誌「サイエンス」電子版は2日、研究論文の形で中国科学院地球環境研究所の安芷生院士(中国科学アカデミー会員)のチームが内外の多くの科学者と協力して得た研究の成果を発表しました。それによりますと、南極の氷床(大陸の全体を広く覆って発達する氷河)の成長や、関連する海氷の拡張が中期更新世(約78万~12万年前の最終間氷期開始直前までの時期)の気候遷移における重要な役割が明らかになり、それ以降の北半球の氷床の急速な拡張を深く理解するために重要なメカニズムを提供しました。

 地球温暖化を背景に、北半球の氷床と北極域の海氷溶融が加速していますが、南極域の氷床と海氷の溶融面積は比較的狭く、近年になって始めて大規模な溶融が見られています。こうした非対称な氷床の変化が、世界的な気温や海水位の変化を含む世界気候に与えた影響は、これまで極めて過小評価されてきました。

 今回の研究により、『サイエンス』誌が提出した125の最先端の科学問題の一つである「氷河時代発生の原因」を理解するために新しい視点が提供され、特に地球システムの過程が氷期-間氷期サイクルの特徴と動力学をどのように定義し、変化させるかが明らかになり、中国の科学者が世界の最先端の科学問題を解決する上で主導的な役割を果たす模範的な一例です。

 同研究の成果は、観測の記録と数値シミュレーションを結合し、両極域の氷床の非対称な変化の歴史と地球気候システムの呼応する変化過程を明らかにし、200~125万年前に南極氷床と関連する海氷が持続的に拡張していることを発見し、赤道を跨ぐ気圧勾配と、海流の子午面循環(AMOC、海水が表層で北上し、深層で南下すること)を変えることで、北半球の温度低下や水蒸気含有量の増加を触発し、今から125万年前に北極氷床の成長に有利な条件を提供し、地球気候の氷期-間氷期サイクルの4~10万年への重要な転換を最終的に触発しました。

 この成果は、南北極域の氷床の非対称化により世界の気候、特に北半球の気候に与える重大かつ深遠な影響を強調しました。

 安院士は、「この成果は、地球温暖化を背景に、両極域の氷床の非対称的な溶融と地球気候変動との関連性を定量的に評価することの緊迫性を意識させ、将来の気候変動や地球システムの極地氷床の変動への影響を予測する能力を高められる」と述べました。(c)CGTN Japanese/AFPBB News