世界文化遺産・北京の中軸線に見る中国文化
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【8月1日 CNS】「北京中軸線-中国の理想的都市秩序の傑作」(略称:北京中軸線)が7月27日、正式に世界遺産に登録され、北京で8番目、中国で59番目の世界遺産となった。
日本生まれの中国人建築家・梁思成(Liang Sicheng)は、かつて北京中軸線を「北京独特の壮麗な秩序は、この中軸線の建設によって生み出された。前後に起伏し、左右は対称の空間配分は、全てこの中軸線に基づいている。その気魄雄大な姿は、この南北に伸びる線上にあり、最後まで一貫した規模感だ」と称賛していた。
北京中軸線世界遺産申請文章編集グループの責任者・呂舟(Lu Zhou)氏は「北京中軸線は北京の旧市街の中心に位置し、北京旧市街の中核となる建築群だ」と説明する。
中軸線は、旧市街の南北を7.8キロにわたって貫き、13世紀に建設が始まり、16世紀にやっと完成を見た。中軸線はまさに中国文明が中国人の生活秩序と都市の形状を造り上げる過程を目撃してきた。
北京の中軸線の15か所の文化遺産の構成要素は、歴史的な宮殿建築「景山(Jingshan)、故宮(紫禁城、Forbidden City)、端門(Duanmen)」、皇帝の祭祀用の建物「太廟(Taimiao)、社稷壇(Shejitan)、天壇(Tiantan)、先農壇(Xiannongtan)」、古い時代の都市管理用施設「鐘楼(Zhonglou)、鼓楼(Gulou)、正陽門(Zhengyangmen)、永定門(Yongdingmen)」、国家の儀式用建物と公共建築物「天安門(Tian’anmen)、外金水橋(Waijin Shuiqiao)、天安門広場(Tian'anmen Square)の建物群」、中軸線上の古い道路遺構「万寧橋(Wangningqiao)、中軸線南側の古い通り」で形成されている。
これら五つの異なるタイプの歴史的な遺産は、壮大で厳粛な国家的儀式の場と、人びとが暮らす賑やかで活気ある市井とを結び、中国の伝統的な都市の中軸線上に発展し、そして成熟の域に達した模範例と言える。
中でも「鐘鼓楼」(鐘楼と鼓楼を1組として表す名称)は、時を刻み、時を告げる役割を担う重要な都市の管理施設だ。また「景山」は中軸線上の高台で、かつて皇帝が登り遠くを眺める場所として王宮の重要な構成部分だ。
「天安門広場」と建物群は、北京の中軸線上にある記念碑や公共の建物で、かつての王宮の禁足地から市井の人びとが活動できる公共の空間へと変貌を遂げた証しであり、中国社会の大きな変化を反映している。
北京の中軸線の独自性は、中国の伝統的な哲学と文化精神が体現されたもので、この中軸線の配置と空間の形態を決定している。また、中国文化の特徴を表す物質的な形を示すものでもあり、独特の建築様式と都市の景観を構成している。中国以外の東アジアの古い都市の多くは、その設計思想において中国文化の影響を受けており、都市の形にもその特徴が見られる。しかし、それらは、すでに歴史の中に埋もれてしまったところもあれば、あるいは地理的な面でまた都市の規模的な面で、北京中軸線との違いは明らかだ。
このような理由からも、北京中軸線の独自性は、東洋の都市の建設計画の理念やその中核となる建築物の類型という点でまさに「世界遺産リスト」の空白を補充するもので、卓越した世界的な価値を持つものである。(c)CNS/JCM/AFPBB News