【8⽉4⽇ PeopleʼsDaily】中国・福建省(Fujian)泉州市(Quanzhou)は海のシルクロードの重要な中継点であり、2021年に「宋元代の中国における世界的な商業の中心」として国連教育科学文化機関(ユネスコ、UNESCO)の世界遺産(World Heritage)に登録された。泉州市はその後、文化財の保護を続けると同時に、文化と観光の深い融合を積極的に推進した。2023年には中国内外からの観光客は前年比53.9%増の延べ8652万9700人で、市の観光売上高は前年比68.9%増の1002億4000万元(約2兆1200億円)に達した。

 泉州市内でも文化遺産として、そして観光資源としての価値が大きいのは旧市街だ。しかし、一時期の旧市街の状態はひどいものだった。さまざまなパイプが路上に無造作に敷設されていた。家屋の老朽化はひどく、雨が降れば汚水が路上を流れた。古くからの住民も次々に移転して、街は空洞化した。

 そこで2017年に、「変更は最小限」の原則に基づく改造が始まった。実行されたのは外観の改善、配管の地下化、路面の舗装、夜景の改善、景観デザインへの文化的要素の取り込みなどだ。合理的な計画と管理により、古都の風格が復活した。

 音楽に乗って人形が動き、急停止し、体を揺らし、跳ね、旋回する。すべての動作が一気呵成(かせい)だ。観客は思わず歓声を上げ拍手する。泉州の木偶戯(伝統人形劇)は、中国の国家級無形文化遺産に登録されている。近年では、若者がこの木偶戯の保護と継承に加わり、この古い芸術に新たな血を注いでいる。木偶戯の公認伝承者である李雲峰(Li Yunfeng)さんによると、所属する保護継承センターのメンバーは30代が中心で、年間400回以上の公演を行っている。

 泉州に伝わる伝統芸能は他にもある。夜になると、南音閣という施設の前の路地に並べられた椅子に多くの人が座る。ここでは南音と呼ばれる伝統音楽の公演が毎週4回行われている。南音は「古代中国音楽の生きた化石」とも呼ばれる伝統合奏で、嫋々たる歌声と伴奏が特徴だ。夏などには街頭で演奏されることも多い。

 泉州市文化観光局の何奕斌(He Yibin)副局長によると、泉州市には世界的に認められた無形文化遺産が6種、国が認める無形文化遺産が36種、省が認める無形文化遺産が128種伝わっている。市政府は無形文化遺産博物館を12か所、訓練場所を166か所、見学場所を1000か所開設した。また、無形文化遺産の継承のために1000万元(約2億1200万円)の特別基金を設立した。

 現在の泉州市観光は「昼は景観を堪能し、夜は文化を体感して楽しむ」の1日2部の構成だ。夜には屋外に設けられた小規模な会場を含めて、木偶戯や南音、伝統地方音楽劇の梨園戯や高甲戯、さらには南少林武術の演武などが披露される。観光客は古くから栄えた商都に自らの身を置き、その商都で育まれてきたさまざまな伝統芸能の世界に身を浸すことで、歴史と文化を五感を通じて味わうことができる。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News