【7⽉31⽇ Peopleʼs Daily】6月30日、中国・広東省(Guangdong)の深セン市(Shenzhen)から中山市(Zhongshan)までを珠江河口を越えて結ぶ深中通路が開通した。自動車での深センから中山までの移動時間は、従来の約2時間から30分に短縮された。着工は2017年2月で、工事には7年余りがかかった。

 海底トンネル部分の長さは約6.8キロで、32基の巨大なトンネル外枠を海底に沈めた沈管構造だ。トンネル内は片側4車線で、沈管トンネルとして世界最長で幅も最も大きい。

 深中通路の重要な構造物である深中大橋は高くそびえ立つ竜の背筋のように壮観だ。橋が架けられた珠江河口では、大型船舶が頻繁に往来する。そのため、深中大橋は世界最大の1666メートルのスパンのつり橋とすることが決まった。橋面の高さは91メートルで、水面から最も高い部分の高さが76.5メートルの船舶までが下をくぐり抜けられる。

 さらに、現地は強い台風に見舞われることも多い。深中通路管理センターは多くの大学や研究機関と提携して、3年余りの研究を経て新たな複合空力制御技術を確立し、大スパンの橋全体の耐風能力を大幅に向上させた。橋は風速毎秒88メートルまで耐えられる。

 深中通路が経由する西人工島には島で最も高い構造物として55メートルの塔がある。この塔はトンネル全体の呼吸システムだ。トンネルの入り口に近い位置に設置されており、ファンを使って排気ガスをトンネル外に出す。トンネル内で火災が発生した場合には、トンネル外に煙を迅速に排出できる。

 深中通路海底トンネルの中央分離部分には電力供給、給排水、消防、通信、スマート制御などの設備が配置されたパイプが通っている。このパイプは、緊急時には脱出口になる。火災などが発生して車を運転しての避難ができなくなれば、人々はいったんパイプ部分に避難し、さらに対向車線側に出て脱出することができる。

 深中通路指揮ホールでは、大型スクリーンにデジタルツインプラットフォームが表示されている。プラットフォームは正確な3次元シミュレーション技術により、深中通路の橋、島、トンネル、接続部分などのリアルな物理環境を高精度で再現し、24時間リアルタイムで車両の運行状況を示し、車両のスマート追跡と運転行為分析、危険物輸送車両の管理などを行う機能を備えている。

 深中通路は全線にわたる固定カメラによる監視により、温度が異常に高い車両があれば、トンネルに入る前に検査と誘導を行う。トンネルに入った後も追跡し、問題が発生すれば直ちに対応する。気象検出器や気象レーダーによる観測も行っており、その他の気象データに合わせて気象災害を予測し、速やかに警報を出す。14台のスマート巡回検査ロボットはトンネル内の状態の情報をリアルタイムで収集する。これらの仕組みにより、必要があれば近隣の消防や、交通警察、医療機関などと遅滞なく連携して対応することができる。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News