【7月20日 AFP】バングラデシュ政府は20日、学生のデモ隊と警官隊が衝突し、新たに死傷者が出た事態を受け、午前0時に夜間外出禁止令を出し、首相府は国内全土に軍を配備した。シェイク・ハシナ・ワゼド(Sheikh Hasina Wajed)首相は21日からの外遊を中止した。

 同国の民放テレビ局、チャンネル24によれば、夜間外出禁止令は少なくとも21日午前10時まで継続される。

 警察の担当者はAFPに対し、首都ダッカでは19日に「数十万人」が警官隊と衝突し、警官2人が撲殺されたと明らかにした。「少なくとも150人の警官が入院し、さらに150人が応急処置を受けた」という。また、多数の交番や多くの政府庁舎もデモ隊に放火されたり、破壊されたりしたとしている。

 警察や病院の発表に基づきAFPがまとめた集計によると、衝突による死者は今週に入ってから少なくとも115人に上っており、独裁的なハシナ政権は大きな試練を迎えている。

 バングラデシュの公務員採用枠の半数以上は、1971年の独立戦争で戦った兵士の子孫ら特定のグループに割り当てられている。

 ハシナ氏は今年1月、実質的に野党不在で行われた総選挙で4期目続投を決めた。公務員の採用枠の割り当ては、2009年以降15年にわたって首相を務める同氏を支持する政府寄りのグループの家族を優遇する制度だとして批判の声が上がり、今月に入ってから同枠の廃止を求めるデモが連日のように行われている。

 人権団体は、ハシナ政権が権力を強化し、反体制派の活動家を超法規的に殺害するなどして反対意見を封じるために国家機関を悪用していると非難している。

 今月16日に初の死者が出て以降、デモ隊はハシナ氏の退陣も要求している。(c)AFP/Shafiqul ALAM