【7⽉24⽇ Peopleʼs Daily】中国の高速鉄道車両である復興号(Fuxinghao)は営業運転速度が最も速く、運行形態が極めて多様な高速鉄道車両だ。2023年末時点で、安全運転距離は23億4000万キロで、延べ22億人を輸送した。

 話は2004年に戻る。鉄道の速度向上を必要とした中国は日本、フランス、カナダ、ドイツの高速鉄道技術を相次いで導入し、和諧号(Hexiehao)シリーズを登場させた。運行開始は2007年だった。

 しかし、世界の中でも中国ほど高速鉄道の運行距離が長く、運行環境が複雑な国はない。中国国家鉄路集団の葉陽昇(Ye Yangsheng)チーフエンジニアによると、一部の導入車種は中国の条件に適合しなかった。改良作業では、外国の技術を導入したことによる難しさが生じ、契約上の制約も受けた。そのため、中国独自の高速鉄道車両の開発は必須だった。

 鉄道車両製造会社の中国中車(CRRC)の王軍(Wang Jun)首席科学者は、「時速350キロの高速鉄道車両は約4万個の部品で構成され、機械、冶金、素材、電力電子、化学工業、情報制御など多くの技術分野が用いられます」と述べた。そして、中国独特の超大規模な路線網、複雑な地理気候条件、超長距離走行に対応せねばならないため、中国独自の高速鉄道車両の開発は困難を極めた。

 復興号の自主開発の道のりで、加速、制動、ネットワークなどの中核制御と車輪、車軸、ギアボックスの設計や製造などの基幹技術が構築された。採用した254項目の重要基準のうち、中国による基準が84%を占めた。全体設計および車体、台車などの基幹技術、ソフトウエアはいずれも独自開発した。

 復興号は2017年9月に北京と上海を結ぶ高速鉄道路線の京滬高速鉄道で時速350キロの営業運転を開始した。復興号の運転路線は次々に増え、さまざまなタイプの復興号が、中国大陸部の31の省レベル行政区画すべてに乗り入れることになった。

 中国では高速鉄道車両の部品を設計し生産する重要企業が100社を超え、関連企業は2100社を超えた。復興号は中国の鉄道関連産業全体をけん引している。中国の鉄道設備産業規模は2022年に約4800億元(約10兆円)に達し、2025年には約6000億元(約13兆円)に達する見込みだ。

 復興号は2021年12月に開業した中国・ラオス鉄道にも乗り入れた。復興号にとって初めての海外進出だった。さらに、2023年10月に開業したインドネシアのジャカルタとバンドン(Bandung)を結ぶジャカルタ・バンドン高速鉄道路線にも、復興号を土台に開発された時速350キロの高速列車が投入された。同路線は、中国の高速鉄道システムが丸ごと輸出された最初の例だ。

 中国は2023年末までに、鉄道関連のISOや国際鉄道連合(UIC、International Union of Railways)の国際標準制定や改訂作業を累計65件主導し、国際標準の制定や改訂作業に249件参加し、UICの高速鉄道分野のシステムレベルの国際標準11件はすべて中国が主導して制定された。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News