【7月19日 AFP】イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は18日、国内にパレスチナ自治区ガザ(Gaza Strip)地区の子どもたちを救う野外病院を開設するというヨアブ・ガラント(Yoav Gallant)国防相の命令を覆した。当局が明らかにした。

 ネタニヤフ氏とガラント氏は長年のライバル。民間人死者数の多さから国際的な非難を浴びるガザ侵攻への対応をめぐり、ネタニヤフ政権が内部分裂していることが改めて浮き彫りになった。

 ガラント氏は今週、ガザの病気の子どもたちを治療する「臨時病院」の開設を命じたと発表した。

 17日の政府発表によると、ガラント氏は米国のロイド・オースティン(Lloyd Austin)氏との電話会談で、野外病院開設について協議した。

 複数の報道によると、病院はガザとの境界近くに建設され、同地区では治療を受けられないがんや糖尿病などを患う子どもたちを救うはずだった。

 だが、首相府は18日、「(ネタニヤフ氏は)イスラエル領内にガザ住民のための病院を設置するのを認めていないため、設置されることはない」と唐突に発表した。

 ある政府関係者は匿名を条件にAFPに語ったところによると、まず国防省が2週間前に首相府に対し、ガザからの「病気の子どもをはじめとする患者の退避を加速する」よう求めた。

 政府関係者は「返答がなかったため、ガラント国防相は病気の子どもたちのための当面の解決策として、イスラエル領内に野外病院を開設するよう軍に命じた」「ネタニヤフ首相はこの命令を取り消し、政治的な理由で人道的解決策を阻止した」と説明した。(c)AFP