スーパープロジェクトが白いイルカに出会った時―中国広東省の深中通路の建設工事
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【7⽉21⽇ Peopleʼs Daily】「シロイルカだ!」――。珠江(Pearl River)を横切り広東省(Guangdong)の深セン市(Shenzhen)と中山市(Zhongshan)を結ぶ深中通路の工事現場で驚きの声が上がった。周囲の海のかなたに中華シロイルカの群れの姿が見えた。
深中通路は橋や人工島、トンネルなどを組み合わせた構造物だ。このスーパープロジェクト実施に当たってまず考えねばならないことは、面積約460平方キロの珠江河口中華シロイルカ国家級自然保護区の存在だった。
深中通路の先行工事場所の西人工島は、サッカー場19面分に相当する面積約13万7000平方メートルだ。従来型の工法では施工期間が長く、シロイルカの生活環境に大きな影響が出る。建設チームは独自の12ハンマー連動油圧振動装置を開発し、わずか4か月半で57基の巨大鋼筒を海底岩層に打ち込むことに成功した。人工島の建設としては世界最速であり、海洋環境とシロイルカに与える影響が有効に低減した。
深中通路では海底沈管トンネルも作られた。長さ5035メートルで、32基の巨大なトンネル外枠を海底に沈める構造だ。沈管は50キロ離れた工場で作られる。
どのようにして所定の位置まで迅速に運ぶか。プロジェクトチームは独創的なアイデアを編み出した。トンネル外枠と自航能力を持つ輸送船を一体化するのだ。従来のけん引方式に比べて航路の浚渫(しゅんせつ)および削岩の量を1000万立方メートル以上減らし、排気ガス量を約100万立方メートル削減することができた。また、海底に杭(くい)を打つ場所には二重の汚染防止壁を作って発生した汚水の周辺海域への漏出を防止した。これらはいずれもシロイルカの生きる海洋環境の保護に役立った。
最初の沈管の設置から最後の沈管の設置までに丸3年がかかった。プロジェクトでは「シロイルカ保護管理マニュアル」を作成し、各施工船の船長がシロイルカ保護の直接の責任者であることを明確にし、さらにイルカ観察役を配置して、シロイルカの活動状況を昼夜兼行で観察した。
6月7日には完成した深中大橋の工事用臨時施設の解体が行われていた。深中通路プロジェクトの責任者である廖文竜(Liao Wenlong)氏は、無線を通じて作業員に注意を促した。「各船舶は注意。乗組員はいかなるごみも海に捨ててはならない。皆で最後まで貫こう!」
廖氏によると、同プロジェクトでは工事現場が汚染源になることを極力避けた。砂や砂利を運ぶトラックはすべて、荷台を幌(ほろ)で覆って粉じんを抑えた。作業現場から車両が出る際には「シャワー」を浴びさせ、さらにタイヤ部分のほこりは湿ったマットで除去した。粉末状の物質を貯蔵するタンクの上部には集じん機を設置した。
廖氏は、「ごみの分類管理を厳格に実施し、定期的に搬出しました。橋は5年を経て、すべての工程を完了しました。『ごみを残さず橋だけを残す』です」と述べた。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News