【7月15日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)前米大統領が13日に銃撃された事件で、当局は容疑者の身元をペンシルベニア州在住のトーマス・マシュー・クルックス(Thomas Matthew Crooks、20)と特定。選挙集会の会場付近の屋上から発砲した容疑者は、シークレットサービスに射殺された。

 当局は動機の解明を進めている。これまでに分かっていることをまとめた。

■学校では「物静か」

 ABCニュースによれば、元同級生らはクルックス容疑者について、「物静か」で「独りでいる」ことが多かったと証言。政治やトランプ氏について話しているのを聞いた記憶はないと話している。

 元同級生の一人によれば、「しょっちゅういじめられて」おり、狩猟用の服を着ていたのをからかわれたこともあった。

 地元の郡議会議員はニューヨーク・タイムズ紙に、容疑者が育ったのは「どちらかといえば上位中間層」が多い地区だと語っている。

 同紙によると、容疑者には介護施設での勤務経験がある。

■軍歴はなし

 捜査当局は、容疑者の車から「不審な装置」が見つかったとし、爆発物とみられる装置を証拠として押収したとしている。

 連邦捜査局(FBI)ピッツバーグ(Pittsburgh)支局のケビン・ロジェク(Kevin Rojek)特別捜査官は14日の記者会見で、銃撃に使用されたのは合法的に購入されたAR型の半自動小銃だと発表。父親が購入したものとみられている。

 ロジェク氏は、精神疾患を示す証拠は今のところ確認されていないと述べた。

 国防総省の報道官によれば、軍歴はない。

■単独犯か

 FBIは、単独犯との見方を示している。クルックス容疑者が何らかのイデオロギーや政治的傾向を持っていたのか、当局は特定には至っていない。

 報道によれば、有権者登録には共和党員として記録されているが、民主党系の革新政治団体に献金していたとの情報もある。

 通信アプリ「ディスコード(Discord)」で容疑者のアカウントとみられるものが特定されたが、同社側は「ほとんど利用されていなかった」としている。

 当局は現在、携帯電話の解析を進めている。

 父親のマシュー・クルックス氏は13日、CNNの取材に対し、息子の話をする前に「一体何が起きているのか」を把握するだけで精いっぱいだと語った。(c)AFP