【7⽉11⽇ Peopleʼs Daily】太陽光パネルは太陽の直射を防いで水分の蒸発を減らし、風を弱め、定期的な洗浄で使った水はそのまま地面にしみる。不毛の砂漠に緑が広がり始めた。

 話はまだある。草が伸びると発電効率が落ち、火災につながる恐れもある。そこで羊の出番だ。群れを成した羊が太陽光パネルの周囲で悠然と草を食べる。「太陽光発電+羊」の新モデルは、クリーンエネルギーを発展させ、砂漠化を阻止し、現地住人の収入を増やす「一挙三得」の工夫で、中国の砂漠対策の知恵の生き生きとした縮図になった。

 内モンゴル自治区(Inner Mongolia Autonomous Region)では、度重なる砂との対決の中で、前記の「木で砂を防ぎ、草で砂を固め、光で砂を固定する」方法が編み出された。新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)では、網の目のように植えられた防護林の中で果樹を育てる「林で林を養う」方式が樹立された。

 それぞれの方式が有効なのは、土地に応じた適切な対処が実施されているからだ。同じクブチ(Kubuqi)砂漠でも南端部は極端に乾燥しているために、灌木を密植する。北端部は水が比較的あるので防風林として高木を植える。中部では砂漠を貫く道路や土地が溝のようになっている周囲に林を作る。丘に挟まれた低地などで地下水位が浅ければ、オアシスを建設する。具体的な状況に基づいた体系的な発想により、木を植えたり、草を植えたり、灌木を植えたりする。実情に応じた砂漠制御モデルを確立してこそ、人と砂の調和が取れた新しい絵巻を展開することができる。

 テンゲル(Tengger)砂漠の南部にある寧夏回族自治区(Ningxia Hui Autonomous Region)の中衛市(Zhongwei)では、麦わらや稲わらを編んだものを地面に格子状に敷き詰める「麦草方格」という方法が編み出された。中国で砂漠化の問題が深刻なのは、東北地方、華北地方、西北地方の「三北」と呼ばれる地域だ。そして「三北地区砂漠対策ハンドブック」に記載されている多くの方法は、各地の人々が編み出したものであり、大衆の心血と知恵の結晶だ。実践に学び大衆に学べば、砂漠対策の革新の源泉が生まれる。

 陝西省(Shaanxi)の神木市(Shenmu)にある毛烏素(モー・オス)治沙造林基地で働く張至(Zhang Zhi)さんは1990年代生まれで、大学卒業後に砂漠対策のための生物研究をする4人のチームを結成した。張さんは「林の中でサケツバタケやヤマドリタケなどの食用キノコを栽培することができれば、1ムー(約0.0006平方キロ)当たり6万~7万元(約133万~155万円)の増収が可能です。このことで、より多くの人を植林事業に向かわせられます」と説明した。砂漠対策と同時に砂を利用して地元の人が利益を出せるようにすることが、この若い世代の新たな発想だ。

 砂漠化は人類の生存と発展に影響を及ぼす世界の大きな生態問題であり、中国は砂漠化が最も深刻な国の一つだ。中国は根気よく砂漠対策に取り組み、対策モデルを絶えず革新し、中国の知恵で世界の砂漠化防止により大きく貢献していく。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News