【7月6日 AFP】そり上げた頭で袈裟(けさ)を翻しながら、ユン・ソンホ(Youn Sung-ho)さん(47)が仏教の経典とZ世代向けの人生訓をエレクトロニック・ダンス・ミュージックの重低音のビートに乗せてDJスタイルで唱えると、観客は熱狂の渦に巻き込まれていった。

 コメディアンからミュージシャンに転身したユンさん。仏門に入っているわけではないが、「ニュジンスニム(NewJeansNim)」という法名を授けられている。

 宗教的な意味が込められた言葉の「ニュジン」と韓国語で「お坊さん」を意味する「スニム」で、ニュジンスニム。K-POPガールズグループの「NewJeans」とは何の関係もない。

「苦痛! 給料が上がらない。苦痛! もう月曜日が来る」「でも物事には終わりがある! 私たちには乗り越えられる!」とステージで唱えるニュジンスニムに合わせて、数百人の観客が手を振りながら踊る。大半が若者だ。

 ソウルで行われたイベントの前にAFPの取材に応じたユンさんは、「これほどの反応は予想していなかった。信じられない」と語った。

「母親は仏教徒で、私も子どもの頃から寺に通っていた。仏教は自然に身に付いた」と言う。

 人を鼓舞する歌詞は「仕事がなかった昨年、とても苦しかった時に、いつか報われる日が必ず来ると自分に言い聞かせていた言葉」だ。

■マレーシアでは物議

 多くの韓国人の間で、ユンさんの言葉は共鳴を呼んでいる。

「彼のメッセージは、疲れ切って将来に希望を持てずにいる20〜30代の心に救いを与えてくれる」と、26歳の女性は話した。ニュジンスニムを見るまでは仏教に関心はなかったという。

「彼のDJパフォーマンスを見るまで、仏教はもっと堅苦しいものだと思っていた」と付け加えた。

 イスラム教徒が多数を占め、仏教徒が少数派のマレーシアで5月上旬にパフォーマンスを行った際は、仏教徒の怒りを買い、2回目のライブは中止に追い込まれた。

 同国の青年仏教徒協会の代表はAFPの取材に対し、ニュジンスニムのパフォーマンスをめぐり、仏教徒の団体や個人から警察に通報があったと説明。

「あのようなパフォーマンスや服装は、仏教の信仰や慣習にふさわしくない」「あれが仏教の慣習だと誤解してほしくない」と話した。