【6⽉30⽇ Peopleʼs Daily】天津港勤務20年の王彬(Wang Bin)さんは朝早く遠航国際鉱石埠頭(ふとう)を訪れた。17万1400トンの鉄鉱石を積んだ貨物船「亜洲角」が荷降ろし中だ。この天津港最大の鉱石埠頭での作業量は2023年11月から急増している。今年2~4月の月間取扱量は前年同月比で連続して2桁台の増加だった。

 王さんは鉱石埠頭での仕事を終えると国際ローロー船埠頭に行って事務処理をした。「今年はローロー船の定期便が急増しています」という。天津(Tianjin)からの自動車輸出が急増しているからだ。

 王さんは昼食を食べ終わると、急いで事務室に戻った。天津港とエチオピアを往復する定期便についての処理をせねばならないからだ。同便の運航は急増しており、コンテナが足りない。王さんは長年にわたりエチオピアの海運会社を担当しているが、このような状況は初めてだ。

 天津港は世界の180以上の国と地域の500以上の港と結ばれており、「新しい友人」も増えている。5月6日には天津港と南米東海岸への直行コンテナ航路が開設された。同月15日には米国東海岸への直行便が就航。16日には中米への直行便航路が開設された。

 王さんの同僚でコンテナ船業務を担当する劉亜琨(Liu Yakun)さんは、「新航路3本に対する需要は旺盛で、業務量は急増しています」と語った。天津港の今年1~5月のコンテナ取扱量は前年同期比5.1%増の958万TEUで、過去最多だった。

 天津新港北コンテナセンターにトラックが発着している。行き先は、北は吉林(Jilin)、西は新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)だ。センター拡張工事の現場は熱気に包まれていた。職員は「一部の内陸省で貿易情勢が好転していることが、海運と鉄道を組み合わせた輸送の増加をけん引しています。市場の予想は非常に楽観的です」と語った。

 匯盛埠頭での作業を終えると、夕闇が迫っていた。王さんは世界初の「スマートゼロカーボン埠頭」に足を運んだ。20万トン級超のバース3か所にはいずれも巨大船が停泊している。埠頭の作業現場に人の姿は見えず、自動運転のAI輸送ロボットがコンテナを運んでいる。稼働中の風力発電機数台が見える。同埠頭はグリーン電力を自主供給しており、炭素排出量はゼロだ。

 天津港では多くの埠頭がグリーン電力の「自給自足」を実現した。王さんは、「仕事を始めた頃は、土だらけの埠頭もありました。20年がたち、埠頭はますますスマート化され、至る所がきれいになりました」と感慨深げに語った。

 スマート化により港湾作業の効率が大幅に向上した。遠航国際鉱石埠頭は作業の自動化により1日の最高荷揚げ量が90%近く上昇した。

 深夜になっても天津港の各埠頭は相変わらず忙しい。車両や船が絶え間なくやってくる。スマート化設備は稼働し続けている。天津港の「とても忙しい1日」の背後にあるのはまさに、活力にあふれる中国経済だ。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News