【6⽉28⽇ Peopleʼs Daily】中国では人工知能(AI)の代表的企業が生成AI大型モデル(以下、「AI大型モデル」)関連の使用価格を次々に引き下げている。多くの場合、価格下落率が50%以上に達し、中には90%を超える場合もある。

 湖北省(Hubei)武漢市(Wuhan)でネットワーク運営に携わる羅怡然(Luo Yiran)氏は、「中国のAI大型モデルはレベルが向上しています。企画のヒント探しや資料収集に役立ちます」と話した。羅氏は、利用が広がっている時に価格を引き下げるのは良いことであり、トレンドだと説明した。

 IT大手の百度(Baidu)のスマートクラウド事業グループの沈抖(Shen Dou)総裁は、「値下げにより、AI大型モデルのより多くの用途を迅速に見いだしたいです」と語った。

 同じくIT大手の阿里巴巴集団(アリババグループ、Alibaba Group)傘下の阿里雲(アリババクラウド、Alibaba Cloud)が開発したAI大型モデルの「通義千問(Tongyi Qianwen)」はすでに、産業に応用されている。同社専門家の朱迅垚(Zhu Xunyao)氏は、「値下げするのは、多くの一般ユーザーと中小企業にAI大型モデルを使っていただき、AI応用市場の潜在力を爆発的に解き放ちたいからです」と説明した。

 朱氏はさらに、AI大型モデルを作動させる際の主なコストは、推論の過程で消費される計算力資源関連と説明した。このコストはクラウド方式の方が、ユーザーがそれぞれ機器を運用した場合よりも大幅に下回るという。朱氏は「当社は自社開発の一連の重要技術と製品によって、推論コストを大幅に引き下げました」と述べた。新技術の導入や規模効果などが、市場に先んじて値下げを断行することにつながっているという。

 智譜AI(Zhipu AI)の張鵬(Zhang Peng)最高経営責任者(CEO)は、「技術の向上」と「AIの強力な生産性をより多くの人が享受する」との間には大きな隔たりがあると述べた。人々の仕事や学習、生活にAI大型モデルの強力な能力を真に使用するためには、まだ多くの仕事が残っているという。

 北京市社会科学院管理所の王鵬(Wang Peng)副研究員は、AI大型モデル技術の発展と最適化に伴い、モデル訓練に必要な時間と資源が徐々に減少していると説明した。特にアルゴリズムの改善、計算効率の向上、ハードウエアコストの低下が、AI大型モデルの値下げを可能にした。各社はいずれも、値下げによるAI技術の普及と応用を目指しているという。

 王副研究員は、「短期間での大幅値下げは市場競争を激化させ、AI大型モデルの提供業者はサービスの質を向上させてユーザーをつなぎとめるようにします。非効率だったり資金が不足したりする業者は淘汰(とうた)され、一部の特色はあるが大型化が難しい業者は吸収され、『強者連合』が発生する可能性があります」と述べた。

 専門家の多くは、AI大型モデル業界は今後、多元化した利用シーンを模索し、データの品質とプライバシー保護を重視し、派生する収入源を増やし、ユーザーからのフィードバックメカニズムを改善し、最終的により健全で持続可能な発展を実現する必要があると考えている。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News